田村、開幕戦「緊張して死ぬかと」 リーチ主将「狙え」に勇気もらった
W杯開幕戦白星発進から一夜明けた21日、ラグビー日本代表フランカーのリーチ・マイケル主将(30)=東芝、SO田村優(30)=キヤノン=が東京都内のホテルで会見した。立ち上がりにあり得ないミスも連発した重圧を克服した逆転勝利を振り返り、世界ランク1位の難敵アイルランド戦(28日・エコパ)に向けて意欲を示した。B組は3連覇を狙うニュージーランドが南アフリカを23-13で下し、D組のオーストラリアとC組のフランスも初戦を勝利で飾った。
重圧から解き放たれたかのような、穏やかな表情だった。「緊張して死ぬかと思いました」。キックの名手らしからぬミスもあった田村は、前夜の開幕戦の空気を振り返った。
開始早々、あり得ないミスが続いた。相手キックオフボールは主将のリーチが捕れず、カバーしたナンバー8姫野も落球。自陣インゴールから田村のキックがチャージされた。ハイパントをFBトゥポウが落球し、先制トライを献上した。
終わってみれば逆転勝利。4トライで得られるボーナスポイント付きの勝ち点5を挙げた。その中で、リーチ主将と田村の信頼感が生んだ得点があった。20-10の後半23分、田村が決めた約40メートルのPG。4トライ目を狙う作戦を主張した田村に対し、リーチはキックを命じた。
「ちょっと怒って『狙え』って。僕に勇気を持つチャンスをくれた。プレッシャーに向き合うチャンスをくれた」と田村。低い弾道のキックが鮮やかに決まった。リーチは「点数を重ねてプレッシャーをかけたかった。優の膝もその前に調子悪くなって。決めてくれたことを感謝しています」とほほえんだ。
課題はある。6日の南アフリカ戦に続き、キックを多用するロシアにも苦戦した。「自分たちの強みを消すために、相手はどんどん蹴ってくる」とリーチは言う。強豪アイルランドと戦う次戦。「大きな壁にぶち当たる。どれだけ自分たちの強みを出せるかが大事」。真価が問われる一戦。もう緊張はしない。培ってきたプレーで挑む。