田中 途中出場で導く8強方程式 日本のラグビー熱に一瞬の「オールブラックス気分」

 ラグビー日本代表は1日、都内でサモア戦(5日・豊田スタジアム)に向けて全体練習を行った。練習後の会見には3回目のW杯の舞台に立つSH田中史朗(34)=キヤノン=が登場。これまで2試合に途中出場。ロシア戦ではキックでWTB松島幸太朗(26)=サントリー=のトライを、アイルランド戦ではパスでWTB福岡堅樹(27)=パナソニック=のトライを導いた。ベテランの技と頭脳で、途中出場からインパクトを与える貴重な存在。田中がジャパンの勝利の方程式になっている。

 派手さはない。166センチにヒゲを蓄えても、「かわいい」と評される童顔。それでいて、2戦とも途中出場で渋く光るプレーを披露した。田中は「自分の中で戦術というか、勝つためにどうするかということが頭の中に入っている。それを遂行していく」とその極意を話す。

 2つの勝利。十分なインパクトを残した。

 ロシア戦は20-10の後半20分に登場。敵陣深くへのキックがボーナスポイントをもたらすチーム4トライ目につながった。アイルランド戦は9-12で迎えた後半16分に出場。その2分後のラックからのパスでWTB福岡の逆転トライを導いた。

 「アイルランド戦は負けている状況。テンポを上げてトライを取りにいくことを意識した。勝っているときに出たら、相手が疲れていれば攻めるし、相手がプレッシャーをかけてくる状態のときは時間を使っていく」

 変幻自在の戦術を駆使。必要に応じたプレーを選択して試合を締めくくる役割だ。

 日本でのラグビーの普及を常に願う。開幕前に、こう話していた。「ラグビーを日本の方に知ってもらいたい。海外の方に日本や日本人の素晴らしさを知ってもらいたい。僕たちは全力で結果を残すために努力して、もっとラグビー文化を広めたい」-。

 アイルランド戦翌日。生まれつつある熱を肌で感じたのは静岡から東京に移動したときだった。「東京駅の構内でファンの方が花道を作ってくれたり、駅の外でいろんな人が声をかけてくれたりして。オールブラックスになった気分」と振り返って笑顔になる。

 大金星がゴールでないことはもちろん知っている。「切り替えてます。アイルランドに勝つのが目的じゃなくて、ベスト8に行くのが目標」。途中出場選手の活躍が目立つ日本代表。その中心が田中。勝利の方程式として、大きな目標に導く。

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