【伊藤鐘史が斬る】開始20分で決めろ FW組織力は上、セットプレーで優位に

 「ラグビーW杯・1次リーグA組、日本-サモア」(5日、豊田スタジアム)

 1次リーグA組で2連勝の日本は5日にサモアと対戦する。史上初の8強進出に向けて大事な一戦。2015年W杯日本代表ロックで現京産大コーチの伊藤鐘史氏(38)はサモアについて「そこまでの脅威は見えてこない」と評し、日本がボーナス点を獲得できる4トライを奪って勝つことを期待した。

  ◇  ◇

 サモアですが、ロシア、そしてスコットランドとの試合を見て、コンビネーションで非常に苦労していました。SOピシ、FBナナイウィリアムズら有名な選手はいるものの、チーム全体の合宿期間が短いこともあり、どういうアタックをしたいのかが見えません。

 何が脅威か、といっても、そこまでの脅威が見えてきません。相撲でいう『かいな力』はあるものの、フィジカルでの脅威にまではなっていません。

 どんな試合でもそうですが、日本は最初の20分で勢いをつけていくことです。この時間帯は勢いの取り合いです。そしてアタックでは低くいくこと。アイルランド戦のときと同様に、ダブルタックルなどこれまでのスキルが大事になります。

 ゲームキャプテンはラブスカフニが務めますが、リーチがキャプテンであることには変わりがありません。リーチが気持ち的にどうか?という点については、ジョセフ・ヘッドコーチがきちんと説明しているはずですし、リーチ自身もこういうところで浮き沈みが出るレベルの選手ではありません。

 坂手を先発に起用したのは、堀江を休ませるためです。メインはスコットランド戦ということです。堀江は練習からフル稼働でしたから。とはいえ、ゲーム展開によっては堀江の出場が早まるかもしれません。

 坂手はディフェンスで頑張ってほしいです。フッカーですから、セットプレーで重要な役割を果たすことになります。強みにしているタックルでもチームに勢いをもたらしてほしいし、自分にフォーカスすることです。

 日本は基本的にセットプレーで優位に立ちたいところ。FWの8対8の組織力は、日本の方が上です。そして、サモアはフィジーのようにキッカーがうまいかというと、そうでもありません。ピシは往年のきれがないし、ナナイウィリアムズはそこまでスピードに乗っていません。

 サモアの選手たちは、パワーでは負けていない自負があるでしょう。前回大会の雪辱という気持ちもあるでしょうし、5ポイント獲得を狙ってアグレッシブに前にくるかもしれません。

 日本はアイルランド戦のようなモールディフェンスができれば、計算ができます。前に出ながらのキックもポイント。スコアは28-12で日本の勝ちと予想します。4トライを奪ってほしいものです。

 結局、スコットランド戦がポイントになってきそうです。そこにつなげるためにも、内容重視で臨んでほしいものです。(15年W杯日本代表ロック、現京産大コーチ)

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