プロップ稲垣の代表初トライ 秘けつは“そこにいたから”だけではなく…
ラグビーW杯で史上初めてベスト8進出を決めた日本代表のリーチ・マイケル主将と藤井雄一郎強化委員長が14日、横浜市内でスコットランド戦から一夜明けての記者会見に出席した。熱戦をものにしたスコットランド戦では、プロップの稲垣啓太がチーム2つ目のトライを決め、勝利に貢献したが、なぜこのトライが生まれたのか質問が飛んだ。
藤井強化委員長は、少しの間考えながら、「そうですね、まあ、あの…すごく難しい質問なんですけど…恐らく“そこにいたから”トライとっただけの話で(笑)」と切り出して報道陣の笑いを誘った。その上で、「彼はフィットネス(一般で言う体力、持久力)も高いし、スキル(技術)も高い選手です。うちのゲームのシステム上、彼はコンタクトする(相手選手とぶつかる)ポジションにいつも立っているので。ただ、ああいうふうにオフロードでつないでいって、忠実にサポートしていった結果だと思います」と解説した。
つまり、常に味方からパスをもらえる場所にいたから、ということになるが、藤井強化委員長の言葉に出てきた「オフロード」とは何か。これは「オフロードパス」のことで、「相手からタックルを受けながらつなぐパス」のこと。相手守備にとってはタックルを繰り返してもパスをつながれ脅威となる一方で、非常に高い技術や体の強さ、チームワークの良さ、状況判断の的確さが問われるプレーとなっている。
リーチ主将はこれを受けて、「稲垣がトライする前のプレーで、オフロード、3つぐらいあります」と指摘。2月ごろから代表チームの練習で「ひたすらオフロード」を鍛えてきたと明かし、「それで成果が出たなと思います」と語った。
また、戦術の面でもリーチ主将は「試合の中の選手が出ている中でルールがあって、もし前に出て、ストラクチャー(この場合は攻守のラインが整った状態)から離れて、ボールが前に出ているんだったら自由にプレーすることを意識しようと。それで彼はサポートにいってトライをとったんだと思います」と個々の状況判断が結実したとも振り返った。