姫野、日本を背負う 視線は4年後フランスへ
「ラグビーW杯・準々決勝、日本3-26南アフリカ」(20日、味の素スタジアム)
チームの核として、躍進を支えてきた次代のリーダーの目にも涙が浮かんだ。「最高でした。日本中がラグビーで1つになるのを感じた」。ただ、最後の最後に世界の壁を痛感させられたのも確かだった。「前に出れなかった。もっと強くならないと、と感じた試合でした」と、すがすがしく完敗を認めた。
密集から立った状態で相手ボールを奪う「ジャッカル」が代名詞となった背番号8が、この日は狙われた。ボールを持った瞬間に、南アフリカは2人体制で姫野に突進。進撃を完全に止められた。「マークは感じた」。後半11分、今大会初めてピッチを退いた。自分が強くならなければ、ここから先はない。「ダブルタックルをくらっても前に出られるぐらい強くならないと」。敗戦を見届けたベンチで、心に誓った。
日本中を熱狂させた夢の舞台での戦いは終わった。この熱を未来につなげられるか。世代交代を迎える中で、25歳の背中にかかる期待は大きい。憧れてきたのはリーチ主将。合宿では常に並んで走り、どんなメニューでも競い合って勝負した。
「リーチさんはグラウンドで常に先頭に立って引っ張ってくれて、背中を見れば元気になる。僕も同じタイプだと思うし、そういうリーダーになりたい」。4年後、誰もが認めるリーダーとして、ボールも人々の心も奪える存在になる。