虎党15歳・勝みなみ史上最年少V
「KKT杯バンテリンレディース・最終日」(20日、熊本空港CC=パー72)
やってくれたよ、みなみちゃん‐。首位と1打差の2位で出たアマチュアの勝みなみ(鹿児島高1年)が5バーディー、1ボギーで堂々のベストスコア68をマーク。大会新記録の通算11アンダーで逆転優勝を飾った。15歳293日での優勝は、12年のサントリーレディースを制した金孝周=キム・ヒョージュ(韓国)の16歳332日を大幅に更新する女子ゴルフツアー史上最年少記録。アマチュアの優勝は史上4人目。勝は宮里藍が宮城・東北高3年だった03年に樹立した18歳101日の日本人最年少記録も塗り替えた。
最終日の空は鉛色。その下で、「薩摩のみなみちゃん」こと勝の顔は最後の最後まで曇ることはなかった。2番のバーディーで首位に立つと、停滞する他の選手の中をスイスイ泳いでスコアを伸ばし、そのまま誰にも追いつかれることなく勝利のゴールに着いた。
物心ついたころから大の阪神ファンで、小学生のときには、タイガースの帽子をかぶって大会に出場したこともある。自身を奮い立たせる時には、気がつくと「六甲おろし」を口ずさんでいる。3番まで完璧に歌えるといい、2日目にも12番から歌いだして2つバーディーを奪った。しかし、最終日に出てきたのは「アイスクリームの歌」。「昨日焼き肉を食べに行って、最後デザート迷ってプリンを選んで、アイス食べそびれたからかな」と笑った。
「何かもう、自分の体じゃないみたい。ラウンドしてる最中も本当に自分なのかなって思った。どこか違うところに自分がいるような、うまく何も考えずに回れてる感じがしたので」とはV会見での第一声。並み居るプロも恐れ入る集中力で、ツアー史上最年少優勝の偉業をあっさりとやり遂げた。
「正直言うと、スタートホールからずっと『私ならいける』と思ってました」。2番で3メートルを決めると、6番では9メートルのバーディーパットを沈めた。プレッシャーのかかりがちな中盤も、10、11番で連続バーディーを奪って他を引き離すと、13番パー3では6番アイアンでピンそば50センチに寄せた。
出場選手中最少の3日間通算74パットに、大会記録を2打塗り替える11アンダーのおまけ付き。「表彰式でのVスピーチが一番緊張した。アマチュア大会での優勝とは全然違うけど、まだ実感も湧いてないし、今後のことも考えてない」という。即プロ転向の道を選ぶかどうかは未定だが、夢は「オリンピックでの金メダル獲得」ときっぱり。六甲おろしパワーで快進撃を続ける。