大田和が初の首位 亡き父に恩返し誓う

 「日本プロ選手権・日清カップ・第2日」(6日、ゴールデンバレーGC=パー72)

 今季ツアー初出場の大田和桂介(25)=麻倉GC=が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算6アンダーで金亨泰(26)=韓国=と並び首位を奪取。プロ5年目、予選通過わずか3試合の男が“プロゴルファー最強決定戦”の主役に名乗りを上げた。1打差の3位に谷口徹(46)=フリー、高山忠洋(36)=スターツ笠間GC、手嶋多一(45)=ミズノ=ら4人が続いた。

 守るものなどない。17番でバーディーを奪い、首位に並んで迎えた最終18番パー5。大田和は残り236ヤードの第2打を5Wで迷わず振り抜くと、ボールは池を越え、グリーン手前ラフへ。絶妙のアプローチで“OKバーディー”を奪い、満点の67をたたき出した。

 プロ5年目で予選通過がわずか3度の25歳がツアー初のトップ。日本最難関コースに「守ったら守り切れない」と攻め続けた結果に胸を張った。

 日大2年の時に日本オープンローアマを獲得し、2、3年時は日本学生を連覇。4年では日本アマ3位など輝かしい実績を誇り、10年11月にプロ転向。だが伸び悩んだ。

 理由は「緊張しやすい性格」。改善のためメンタルトレーナーに師事し、プロ野球の名将・野村克也氏らの著書を読み、勝負の鉄則を学んだ。「勝負には流れがある。流れが来ている時は乗る」。この日は一切、順位ボードを見ず自身のゴルフのみに集中。18ホール、流れに乗り続けた。

 大学4年の時に父・勇さんが膵臓がんのため52歳の若さで他界。4歳の時に一緒にゴルフを始めてから師であり最大の理解者だった。「最後まで気を抜くな、あきらめるな」。言われ続けた言葉を今も息子は心に刻む。

 「天国で見守ってくれている。恩返ししないと」。大田和は日本最強プロの称号を必ず墓前に報告する。

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