手嶋V“かっこいいパパ”愛息に見せた
「日本プロ選手権日清カップ・最終日」(8日、ゴールデンバレーGC=パー72)
首位から出た手嶋多一(45)=ミズノ=が4バーディー、3ボギーの71で回り通算9アンダーで07年以来、7年ぶりツアー通算7勝目を飾った。終盤まで三つどもえとなった小田孔明(36)=フリー、李京勲(22)=韓国=を振り切り、01年日本オープン以来、2度目のメジャー戴冠。昨季シード権キープに苦戦したベテランが復活を果たした。
かっこいいパパにサプライズが待っていた。最終18番、手嶋は勝利のパーパットを決めた瞬間、右手をガッツポーズ。7年ぶりの7勝目をかみしめウルウルときかけたところで長男・泰斗くん(4)が走り寄ってきた。
家族が来ていることを全く知らず「ビックリして涙が止まった」と手嶋。愛息を誇らしげに抱きかかえ、満面の笑みでギャラリーの拍手喝采を浴びた。
41歳で直子夫人(42)との間に生まれた愛息。「見せたかった」と願っていた“初優勝”は激戦だった。
単独首位をキープし折り返したが、後半10番から3連続バーディーの小田に逆転を許した。2打差を付けられた14番パー4が勝負だった。「ここで遅れたらチャンスはない」と、下り5メートルバーディーパットを気力でねじ込んだ。小田、李と10アンダー並走となり、15番で1人、パーセーブして抜け出した。
45歳7カ月の日本プロ優勝は年長4番目の記録。メジャー大会は01年の日本オープン以来、実に13年ぶりの戴冠となった。昨季はギリギリで18年連続賞金シードを守ったベテランが見事に復活した。
“練習しないプロ”を自他ともに認める。「考えすぎは良くない」と感覚、イメージを重視。ラウンド後は5分で荷物をまとめて宿舎に直行する。その男がこの日、午前2時に目覚め、部屋でパター練習した。それほどまでに勝ちたかった。
来季からの5年シードを獲得し、シニア入りとなる50歳までツアーに出場できる。これで夫人から「もう少し練習して」とため息をつかれることもなくなるはずだ。