岩田逆転V 賞金ランク1位に浮上
「長嶋茂雄招待セガサミーカップ・最終日」(5日、ザ・ノースカントリーGC=パー72)
首位と2打差の3位から出た岩田寛(34)=フリー=が6バーディー、ボギーなしの66で回って通算16アンダーに伸ばし、逆転で今季初優勝を飾った。昨年9月のフジサンケイクラシック以来、ツアー通算2勝目。賞金ランキングでも1位に立った。1打差の2位は新鋭の今平周吾(22)。大逆転を狙った片岡大育(26)は9アンダーの13位に終わった。
同組で回る今平とのマッチレース。岩田は静かに淡々とプレーしながら、勝負どころを逃さなかった。
1打リードで迎えた17番パー4。フェアウエーからの第2打は残り157ヤードだった。ほぼ同じ位置から8番アイアンで打った今平の打球がピンに届かなかったのを見て、岩田は手にしていた9番アイアンを8番アイアンに持ち替えた。
「戦い。言い方は悪いけど、殺し合い。17番はその気持ちがあった。ここだなと思った」。気迫のこもったショットはピン左1・5メートルにピタリ。この日6個目のバーディーを奪ってリードを2打に広げて逃げ切った。
昨年11月の世界選手権シリーズ、HSBCチャンピオンズで日本人過去最高の3位に入った。東北福祉大の後輩に当たる松山英樹も「すごい」と尊敬する実力者は、来季の米ツアー参戦を目指す。この優勝で賞金ランキング1位に浮上。「腐らずやってきたことが結果につながった」と満足そうに話した。
ゴルフから離れると感情をあまり出さない不思議な男だ。優勝会見は開口一番「本当におなかすいた」。優勝スピーチでは「正直この場に立つのは最後のパットより緊張している」と漏らし、ギャラリーの笑いを誘った。
シャイな性格で人前では言葉少な。しかし、4日間の平均飛距離が1位というパワーに加え、高精度のショットによる鮮やかな逆転劇は、世界の舞台を目指すのにふさわしいゴルフだった。