「女子ゴルフ・伊藤園レディース・最終日」（１５日、グレートアイランドＣ＝パー７２）

　女子ゴルフ界に金字塔を打ち立てた。首位から出たイ・ボミ（２７）＝韓国＝が３バーディー、ボギーなしの６９で回り、通算１４アンダーで今季６勝目を挙げ、２試合を残して自身初の賞金女王を確定させた。３日間首位を譲らぬ完全優勝で、ツアー通算１４勝目。今季獲得賞金額は２億７８１万円余りとなり、日本女子ツアー初の２億円超えも達成した。

　文句なしの賞金女王決定、そして２億円超えだった。最終１８番、イ・ボミは２０センチのウイニングパットを沈め、両手を天高く突き上げた。グリーンサイドで見守ってくれた母・ファジャさん（５４）、高校生の時から熱心に指導してくれたコーチのチョ・ボムスさんと歓喜の抱擁。感極まり、大きなヒトミから熱い涙がこぼれ落ちた。

　天国の父に捧げる快挙だった。賞金女王へばく進していた昨年９月１４日、父・ソクジュさんが５６歳の若さで亡くなった。緊急帰国し、最後をみとることはできたが、そのショックから急失速。生前「日本の賞金女王になれ」と口癖のように話していた父との約束を果たせず、アン・ソンジュにタイトルをさらわれた。

　「今はお父さんのためにこんなに頑張ったよって言いたいです。お父さんが亡くなってから、私のためにお母さんが頑張ってくれた。そのお母さんの夢でもあったから、すごくうれしいです」

　今季の圧倒的な強さの陰には強じんなメンタルがあった。敬けんなクリスチャンで、遠征先の宿舎では毎日祈りを欠かさない。ファジャさんは「神様とお父さんにお祈りをしたことで、今年は気持ちの集中力が違った」と話した。

　父との約束を果たし、２億円も突破。次なる目標には、賞金女王になるため今季は封印した海外挑戦を視野に入れる。「メジャーに行きたいし、アメリカの難しさも経験してみたい」。日本ツアーから世界へ。晴れ晴れとした笑顔で、新たな夢を追い始める。