大山、第2の故郷熊本にV賞金全額寄付
「女子ゴルフ・フジサンケイレディース・最終日」(24日、川奈ホテルGC=パー72)
6位から出た大山志保(38)=大和ハウス工業=が4バーディー、ボギーなしの68とスコアを伸ばし、通算11アンダーで今季初勝利、ツアー通算17勝目を挙げた。最終組で首位に立っていたアン・ソンジュ(韓国)が最終18番でダブルボギーをたたき、優勝が転がり込んだ。大山は高校時代など7年間を過ごした“第2の故郷”熊本に優勝賞金1440万円を全額を寄付することを明かした。
闘志あふれるプレーで逆転優勝を成し遂げた大山がポツリと漏らした。「本当は大会前日までずっと、試合に出たくなかった。熊本に戻って、何か手助けをしたかった。でも私が今行っても何もできないと言われて」。ならば「私がテレビに映ることで少しでも元気になってくれる人がいるなら、優勝目指して頑張ろう」と決心して臨んだ大会だった。
勝負のバックナイン。まずは11番パー3で「100回打っても1回できるかどうかのバンカーショット」でパーセーブすると、その後も3バーディーを重ねた。目標の13アンダーには届かなかったものの、首位を走っていた最終組のアン・ソンジュが最終18番でダブルボギーをたたき「信じられない」勝利が転がり込んできた。
宮崎県出身だが、熊本中央女子高(現熊本中央高)時代と日大卒業後の計7年間を熊本で過ごした。「きょうはショットもパットもアプローチも、そして何よりメンタルがよかった。100%、熊本からの風が私の背中を押してくれた」
同級生とよく桜を見に行った熊本城は石垣が崩れ、屋根瓦が落ちた。毎日、自転車で通った熊本空港CCも閑古鳥が鳴いているという。それでも知り合いからは「ガッツポーズを見て元気が出たよ」とメールが届いた。「大変な状況なのに、そうやって励ましてくれるのがすごくありがたくて、うれしくて」と言葉を詰まらせた。
大会前から「賞金は全額寄付」と決めていた。東日本大震災の時も500万円を被災地に送ったが、今回はその約3倍の義援金を“第2の故郷”に届ける。