葭葉ルミがツアー初V
「女子ゴルフ・ニッポンハムレディスクラシック・最終日」(10日、アンビックス函館C上磯GC=パー72)
4位から出たプロ5年目の葭葉(よしば)ルミ(23)=富士住建=が3バーディー、ノーボギーの69をマーク。通算8アンダーに伸ばし、逆転でツアー初優勝を飾った。伝統工芸・江戸切子職人の孫が、函館で新品のクリスタルトロフィーを胸に抱いた。初日から首位を走ったアマチュアの小祝さくら(18)=飛鳥未来高3年=は3バーディー、4ボギーの73とスコアを落とし、通算5アンダーで8位に終わった。
初優勝を決定づける18番パー5のパーパット。1メートル弱と短かったが「けっこう嫌なラインだった」。しかし、葭葉の体には幼いころからその目に焼き付けてきた“匠(たくみ)の集中力”が宿っていた。よどみないストロークでパターにはじかれたボールは、すんなりとカップに沈んだ。
「絶対に優勝しよう。自分が絶対に勝つんだ。今日はずっとそう思い続けていた」。後続の最終組が18番の第3打を打ち終わった時点で優勝が決定。ギャラリーの中に、ガラス工芸・江戸切子職人の祖父、若林幸男さん(84)の姿を見つけた。「全然知らなかった。来てくれてたなんて。でも本当にうれしかった。私をゴルフに導いてくれたおじいちゃんに初優勝を見せることができた」。繊細で高い集中力を要する伝統工芸士の技を、今も孫に見せ続けてくれる祖父に最高のプレゼントを贈ることができた。
一時は通算7アンダーに7人が並んだ大混戦を、上位陣で唯一ボギーをたたかず抜け出した。表彰式では函館五稜郭をイメージしたクリスタルトロフィーを受け取り「すごく重くて。その時、あ~優勝ってこんなに重いものなんだなって思った」とほほ笑んだ。
今季第2戦で古傷の右足首を骨折し、1カ月半を棒に振ったが、ツアー復帰10戦目での歓喜。「次の目標なんてまだ考えられませんが、近い将来、米ツアーに挑戦したいとは思っています」。“江戸の魂”をゴルフボールに乗せて、世界中に発信する。