時松が初の首位発進、ジュニア時代から遼もうならせた「ライジングパット」
「男子ゴルフ・ダンロップ・スリクソン福島オープン・第1日」(21日、グランディ那須白河GC=パー72)
プロ5年目でこれまでトップ10入りもない22歳、時松隆光(りゅうこう)=筑紫ケ丘GC=が9バーディー、2ボギーの65で回り、初の首位発進を飾った。
時松は満面に若々しい笑みをたたえながら、時に目を丸くしてうなった。「何とかスコアを作っていければとラウンドしていたら、後半は(パットが)びっくりするほど入った」。今季2戦目で自己最多9バーディーを奪い、トップ発進のご褒美まで手に入れた。
3番パー4で1・5メートルにつけ、7番パー5ではピンそば1メートル、9番パー4でも1・5メートルにピタリ。好調のアイアンでバーディーの山を積み上げると、後半の見せ場はパッティングだった。
10番で5メートルを沈め、12番では3メートルをねじ込んで加速した。14、15、16番では3連続バーディー。18番も1・5メートルを沈めて、きっちりスコアを伸ばして締めた。
ジュニア時代には石川遼をうならせたパットの名手が、今季はグリーン上で苦しんでいた。転機は、前戦の日本プロ日清カップだった。予選2日間を尾崎直、伊沢という大御所2人と同組でラウンド。「遅いプレーはだめ。ご迷惑をかけてはいけない」。パットを打つ際、ライン読みもほどほどに素振りもせず、「考えずにざっくり、ポン」と打つことに徹すると、面白いように球がカップに消えるようになった。
ただ、その独特のパッティングスタイルだけは貫いた。オープンスタンスに構え、小さなテークバックから、パターフェースを引き上げるようにフォロースルー。少年期に「ライジングパット」と命名された唯一無二の武器は、ちょっとした思考の変化でより鮮やかに生きていた。
「せっかくのチャンス。明日以降もバーディーを取っていきたい」。勢いづく新鋭が、優勝戦線を引っ張っていく。