小林「ドキドキ」単独首位「焼鳥まさや」の社長に初優勝で恩返し果たす時
「男子ゴルフ・マイナビABC選手権・第3日」(29日、ABCGC=パー72)
3位から出た小林伸太郎(30)=焼鳥まさや=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算10アンダーで自身初の単独首位に浮上した。プロ8年目で昨季初めてシード権を獲得した苦労人が悲願のツアー初優勝に王手をかけた。2打差の2位に通算29勝の片山晋呉(43)=イーグルポイントGC、さらに1打差の3位に香妻陣一朗(22)=フリー=と小田孔明(38)=プレナス=が続いた。
13番でリーダーズボードが目に入った瞬間、小林は驚いた。トップにまさか自身の名前。「自分でも信じられなかった。ドキドキした」。緊張感の中、最終18番もバーディー締め。ただ1人、2桁10アンダーに乗せ、初の単独首位に立った。
降雨に強風と大荒れの天候の中、昨季初シード権を獲得するまで下部ツアーで“下積み生活”を送った男は簡単には崩れなかった。1番で1・5メートルを沈めバーディー発進。6番では上から5メートルをねじ込んで伸ばした。
東北福祉大3年時の07年には石川遼も出場した日本アマを制覇。石川を始め、池田勇太、薗田峻輔らアマエリートがプロですぐに活躍したが小林は伸び悩んだ。「僕は一歩ずつ」と“ウサギ”でなく、“カメ”の歩で着実に実力を付けた。
5年前に結婚した愛妻の実家が兵庫県三木市にあり、現在は同市に在住。所属先は兵庫県を中心にチェーンを展開する「焼鳥まさや」で家田秀海社長が支え続けてくれた。「自分のゴルフが表現できたら」と、初優勝で恩返しを果たす時は来た。