「男子ゴルフ・マイナビＡＢＣチャンピオンシップ・最終日」（３０日、ＡＢＣＧＣ＝パー７２）

　２位から出た片山晋呉（４３）＝イーグルポイントＧＣ＝が４バーディー、ボギーなしの６８で回り、通算１２アンダーで逆転勝ちし、今季初勝利、大会最多４度目の優勝を飾った。節目の通算３０勝は、１９７３年の男子ツアー施行後、倉本昌弘に並ぶ歴代５位で史上６人目。首位で出た小林伸太郎（３０）＝焼鳥まさや＝は１打及ばず、自己最高の２位に入った。

　役者が一枚も二枚も上だった。小林を２打差で追って最終日最終組の片山は「彼に勝つには見せ付けながら」と、あえて大げさな“演技”でプレッシャーをかけていった。

　２番、グリーンエッジからの２０メートルをウェッジでフックラインに乗せて、スーパーバーディー。ど派手なガッツポーズを見せ付けた。５番で６メートルをねじ込みバーディー。ダブルボギーをたたいた小林から首位を奪った。

　１打差に詰められた後半１７番、勝負どころを逃さなかった。ともにグリーン下のバンカーからの第３打。先に打った片山は、あと１０センチでカップインという絶妙アプローチに、両手を上げて悔しがった。小林は寄らず入らずのボギー。デッドヒートに決着は付いた。

　最終１８番、優勝のパーパットを沈めると「ヴァー！！」と絶叫。「こんだけ勝ってても、こんなにうれしい。勝っている人は、この時間があることを知っているからきついことを乗り越えられる」。ＡＯＮに次ぐ年少通算３０勝到達の味をかみしめた。

　リオデジャネイロ五輪で惨敗。その後、「いろんな人に話を聞きまくった」と、アマチュアにも教えを請い、復調した。あくなき向上心が４３歳でも勝てる秘けつだ。

　オーナーを務める日本料理店「尾崎幸隆」の２号店を銀座にオープンさせ、３１日はランチの配膳係を務める予定。ピザ屋８軒も含め、飲食店１１軒を展開する片山は「僕はＣＥＯ」とニヤリ。勝利をまだまだどん欲に稼ぐ。