広島男児・谷原「神ってる」PO制し賞金ランク首位奪還
「男子ゴルフ・平和PGM選手権・最終日」(6日、千葉県総武CC総武=パー70)
谷原秀人(37)=国際スポーツ振興協会=が通算12アンダーで並んだ池田勇太(30)=日清食品=とのプレーオフを2ホール目で制し、ツアー通算14勝目を大会連覇で飾った。7月の日本プロ選手権日清カップに続く今季3勝目。賞金ランキングでも前週までトップだった池田を再逆転した。谷原とともに首位で出た稲森佑貴(22)=グリーンゴルフ練習場=は通算9アンダーで3位に終わった。
プレーオフの2ホール目。6・5メートルのバーディーパットを沈めると谷原は右拳を握り締めた。高速グリーンのフックラインを読み切り、自信を持って仕留めた。パットの名手が見せた入魂のラストプレーだった。
「ここまで調子が悪くて優勝できたのは初めてかもしれない。『神ってる』んですかね」
ショットが復調せず心は折れそうだった。トップで迎えた10番で1打目を右林に打ち込み、痛恨のダブルボギー。13番でも1打目を左ラフに入れてボギーをたたいた。スタート前の4打リードは消えうせ、逆に池田に2打差をつけられた。「メンタルは崩壊しそうだった。さすがに終わったと思った」。だが、屈しかけた谷原の心を突き動かしたのはギャラリーの声援だった。
「『まだ行けるぞ』『頑張れ』って言われて。あきらめないことが大切だった。どうやったら感動を与えられるか。一生懸命やる以外にない。それだけを考えてやった」
16番パー3。池田が1打目を3メートルにつけたのを見て「負けたくない」と1・5メートルに寄せた。17番パー4でも2打目を2メートルにつけて連続バーディー。逆境からの怒とうの逆襲で池田に追い付いた。
「相手うんぬんじゃなく、自分との戦い。諦めの悪い男で良かった」
大会連覇が初めてなら、シーズン3勝も初めて。好相性の総武CC総武Cで3度目の優勝を飾り、3戦ぶりに賞金ランキング1位の座も奪い返した。初の賞金王へ残り4戦。カープの躍進にも背中を押され、広島男児は頂点に到達するまで歩みを止めない。