【宮里藍一問一答3】今季奮闘も「モチベーションは期間限定」
女子ゴルフの宮里藍(31)=サントリー=が29日、都内で引退表明会見に出席した。31歳という年齢から「まだやれるのでは」という質問も受けたが「今の自分では足りない」と第一線でプレーできる状況にないと説明し、今季のプレーぶりは「頑張れているモチベーションは期間限定」と語った。以下、一問一答の要旨その3。
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-一番思い出に残っている試合、ショットは。
「アマチュアで勝ったミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンは自分の中でもターニングポイントになった試合なので、あの試合なくして今の自分はないです。今、ぱっと思い浮かんだのがその試合でした」
「エビアンマスターズ優勝が記憶に残っていて、4年かかってもぎとった優勝だったので自分の中でも達成感がありました。その前にドライバーのスランプもありましたので、プレーオフの18番のティーショットはスランプを乗り越えた一瞬だったと思うので、そのショットはすごくよく覚えています」
-世界で活躍できた要因はなんだと思うか。
「自分自身と向き合えたことじゃないかと思っているんですけども…。私はアメリカツアーで小柄な方なので、パワーもそんなにないですし、自分の中でショットの精度と小技で勝負するというところで、さらにメンタルトレーニングも加わって、そこが土台となって戦ったと思っています」
「そこがゴルフのいいところというか、必ずしも体格の差がハンデになるわけではなくて、自分自身をコントロールして、自分のゴルフを信じるところで、私はここまでできたと思う。逆に言えば、私ができたので、もっともっといろんな選手ができるんじゃないかと思います」
-引退を決めるにあたって影響を受けた人物や言葉はあるか。
「誰にも話していなかったので、自分自身で決めたことでしたし、逆に引退を発表してからロレーナ(・オチョアさん)にメールをもらったりとか。彼女の意見が参考になったりとか、ゴルフに携わっていく上でどういう風にしたらいいかアドバイスを求めることが逆に増えるんじゃないかと思います」
-東京五輪へ向けては。
「今はちょっと考えられないというか…。今シーズンの残りの試合に全力を注ぎたいと思っているので、正直、まだその先のことは頭にないですけど…。何か私にできることがあれば積極的にやらせてもらいたいと思います」
-拠点は日米どちらに。
「その辺も全然、まだ決まってないです。逆に言うと決めていないという言い方もできるんですけど…。今回、自分の中で決断するにあたって、物事を先に決めることが自分をちょっと苦しくしてしまうと思ったので、あえてそこは決めずに今シーズン一杯頑張って、やり抜いた先にある自分の思いを大事にしたいなと思っているので。選手としても感覚派なんですけど、終わってみて、自分の感覚に正直に生きていけたらいいなと思います」
-まだやれると思っている人もいる。
「そう言っていただけるのはすごくうれしいです。先程も申し上げましたけど、戦い続けるという意味では、今の自分では足りないですし、プロとして結果を残し続けることが難しくなってしまった。(今季)頑張れているモチベーションは期間限定だと思っています。これがずっと続くかというと、今年いっぱいと決めたことでこのプレーができているという感覚がある。それでも、今年いっぱい感謝の気持ちを持って自分の気持ちを高められているのはうれしいです」
-メディアを前にして実感は。
「本当にこんなに大きな反響をいただけると自分では想像もしていなかったので、今も緊張していますし、逆にこれだけたくさんの人が集まってうれしいですし、感謝の気持ちで胸がいっぱいで、自分の引き際の寂しさというよりもそこに気持ちがいく。これだけの方が集まってくださってうれしいです」
-世界が驚いた。
「アメリカツアーの選手も連絡を直接くれたりしたんですけど。いろいろ考えた末、このタイミングになったというのはあるんですが…。シーズン初めに発表してもよかったとは思うんですが、今年いっぱいと決めたことで、1試合でも多く自然体で自分の力を出し切る、それが優勝につながってくれればいいという思いが強かったので。日本の試合に出場できる機会も数少ないですし、皆さんに思いを伝えて、1試合でも多く、たくさんの方が見に来てくだされば、それはそれで素敵なことだなと思い、このタイミングになりました」
-かつて30歳がピークになるのではと話していた。まだやれるのでは。
「そういっていただけるのはすごくうれしいです。でも、本当に戦い続けるということにおいて、今の自分では足りないですし、プロとして結果を残し続けていくところがすごく難しくなってしまった。期間を設けることで頑張れているモチベーションは期間限定だと思っています。今年いっぱいと決めたことでこのプレーができているとう感覚がある。それでも、感謝の気持ちをもって自分のモチベーションを高められたのはうれしいです」
-モチベーションが上がりにくくなった要因は。
「2012年の後半なんですが、そのシーズンは2勝していて、2009年に試合を勝ってから4年間勝ち続けていて、ナンバー1になったり、プロゴルファーとしてピークを迎えている感覚があって、それなのにメジャータイトルが取れないというところで葛藤もありまして」
(続けて)「自分の中でそういう風に考えなくてよかったんじゃないかとも今は思うんですが、こんなに一番いい時に、調子がよくて自信がある時にメジャー勝てなくて次はどうしたらいいんだと一度立ち止まってしまったというところが原因だと思っていて。そこから自分自身をちょっと見失ったというか、次はどこにモチベーションを置いて、どう立ち治したらいいんだろうというのをすごく悩みました。そこが難しかったです」