宮里藍が泣いた 引退会見で感極まる「モチベーションの維持難しくなった」
“藍ちゃん”涙の引退会見-。女子ゴルフの元世界ランク1位で日米両ツアーで活躍した宮里藍(31)=サントリー=が29日、都内のホテルで記者会見を開き、自ら今季限りでの引退を発表するとともにその理由などを語った。会見後の本人あいさつでは感極まって涙を流す場面もあった。今後は国内ではホステスプロとして臨むサントリーレディース(6月8~11日、兵庫県・六甲国際GC)、米ツアーでは今季のメジャー残り3試合に出場する予定で、国民的人気を誇るヒロインの引退カウントダウンが始まる。
大きな瞳が涙でぬれた。宮里は最後の「お礼のあいさつ」の途中、「約15年間、プロの選手として、ここまでプレーしてきて、本当に…」と話したところで感極まった。次の言葉が涙声になり「すみません…」。300人を超える大報道陣を前に涙を流すほど、重く深い決断だった。
26日に所属事務所を通じて今季限りの引退を表明。この日は引退に至った理由が注目された。「モチベーションの維持が難しくなったのが、一番の決め手。それは4、5年前から感じていた。トレーニングでも自分を追いこめなくなってしまっていたので、それは理想としている(自分の)姿ではなかった」と淡々と説明した。
昨年8月のリオ五輪開催中、米ツアーは3週間試合がなく、この間に自分の気持ちと向き合い、引退という大きな決断を下した。「8月に3週間も休みをもらえることが初めてだった。そのタイミングが大きかった。3週間で自分の気持ちにしっかりと整理をつけられた」と晴れ晴れとした表情で振り返った。
家族への報告は昨年9月のエビアン選手権終了後だった。「両親に話した時は驚きもせず、自分が幸せだと思う道をいきなさいと、温かく受け入れてくれた。2人の兄も同じで、それがすごくうれしかった」。絆が強い宮里家。末娘の決断を全員で共有し祝福した。
14年間のプロ人生で国内15勝、米ツアー9勝。10年には男女を通じて日本人初の世界ランク1位になった。ここまでのプロ人生を振り返り「思っていた以上の結果。これ以上ないゴルフ人生だった。ゴルフには感謝の気持ちしかないです」と100点満点をつけた。
思い出に残る試合には、国内では03年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子、米ツアーでは09年エビアンマスターズを挙げ「ミヤギテレビ杯はターニングポイント。あの試合がなかったら今の自分はない。エビアンは米ツアー初優勝した試合」と感慨に浸った。
今後は国内ではサントリーレディース、米ツアーでは残りのメジャー3試合に出場する意向。注目はその先にある引退後の第2の人生だが、31歳と適齢期にある結婚については「それは今のところはないですね」とやんわり否定。「年内は自分の今あるエネルギーすべてを残り試合にそそいで、それからゆっくり自分に何ができるか考えていきたい」。座右の銘は「意志あるところに道はある」。高い志を持ち続ける限り、宮里の前途をさえぎるものは何もない。