藍「100%感謝の涙」 国内“ラストパット”決め「こみ上げてきました」
「女子ゴルフ・サントリーレディーし・最終日」(11日、六甲国際GC=パー72)
笑顔のち涙、涙、涙-。今季限りでの引退を表明している宮里藍(31)=サントリー=は5バーディー、4ボギーの71で回り、通算2アンダーの26位で、国内でのラストゲームとなる可能性を残す大会を戦い終えた。12日には再渡米し、9月中旬のエビアン選手権まで、米ツアーであと1勝を目指す最後の旅に出る。
強くて、常に前方を照らす光を宿してきた宮里の目。しかしこの日ばかりは、涙で光ることを自身に許した。
大きく打ち下ろす18番のティーから「すごい景色。これだけ人で埋まるんだ」と、感慨を胸に最終ホールに挑んだ。鈴なりの大観衆から万雷の拍手で迎えられたグリーン。カラーから4メートルのパーパットをねじ込むと、思わず目頭を押さえた。喝采の中で、“国内最後の戦い”を終えた。
もう、心が乱れてもプレーに支障はない。「抑える必要はないな、と思ったらこみ上げてきました。100%感謝の涙です。これだけの人が見に来てくれて、ゴルフ人生でこれ以上ない、最高の思い出ができました」。宮里は、泣き笑いの表情で両手を振り、拍手をし、全身でギャラリーに感謝を伝えた。
国内最後になるかもしれないラウンド。「朝からやばかったんです。感傷的になってウオーミングアップも手につかなかった」と明かす。今大会は2004年に優勝。その前年からサポートしてくれた所属先・サントリーへの思いを込め、この日は企業のイメージカラーであるブルーのウエアを迷わず選んだ。
それでも「(1番の)ティーグラウンドに立つと、すっと切り替えられて、驚きました」という。12番ではグリーン右のバンカーから直接カップインさせるスーパーショットでこの日4つ目のバーディーを奪い、地鳴りのような歓声と応援に包まれた。一度は「泣きそうに」なったが、ここもぐっとこらえ、18ホール、プロであることを全うした。
ギャラリーに喜んでもらいたい一心で、失敗をおそれずピンを狙い続けた。その戦いぶりは、間違いなくファンの心に残った。
試合後、表彰式にも出席し、所属プロとしてプレゼンターも務めた。最後のあいさつでも、感謝を伝え「私にとって一生、思い出に残る1週間。これ以上しゃべると…」とここでも涙。
「一区切り」と表した大会が終わった。12日に渡米し、宮里藍の最終章、海外ラウンドに向かう。国内最後かも知れない1週間。宮里はこれまで以上に輝いて見えた。