【舩越園子の目】松山が一緒に歩いたメジャー4勝エルスとの36ホール
「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・第2日」(11日、クウェイルホローC=パー71)
その昔、米ツアーにデビューして間もなかったころの松山英樹がアーニー・エルスのそばに立つと、当たり前だが、エルスは大人に見え、松山は子供のように小さく見えた。
だが、全米プロの予選2日間を同組で回っていた2人は、着々とスコアを伸ばす松山が大きく見える一方で、どんどんスコアを落としていったエルスは弱々しく小さく見えた。
47歳のエルスの今のスイングは、かつて“ビッグイージー”と呼ばれた彼の黄金時代のスイングとは様変わりしている。歩くスピードも遅く、傾斜地を昇るときは少々つらそうにしていた。
36ホール目の18番。2人は一緒に歩き始め、エルスがしきりに松山に何かを説いていた。松山は真剣な眼差しを向け、うなずいたり、笑ったり。エルスいわく、「僕もそうだったけど、メジャーに勝つ選手は他選手より秀でた何かを持っているものだ。ヒデキにはミスしたときの優れたリカバリー力がある」。
そうやって松山を温かく激励していたエルスは、やっぱり素敵で大きく見えた。そして、メジャー初優勝を目指す過程でメジャー4勝のエルスから激励される機会を得たことは、松山の運命に何かしら好影響を与えるのではないか。そんな予感がした。(在米ゴルフジャーナリスト)