重永亜斗夢 悲願の初V 石川遼の追撃振り切る 地元・熊本に勇気届けた

 「男子ゴルフ・東建ホームメイトカップ・最終日」(15日、東建多度CC名古屋=パー71)

 首位で出たプロ11年目の重永亜斗夢(29)=ホームテック=が2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの73で回り、通算12アンダーで逃げ切ってツアー初優勝を果たした。4打差2位から逆転を狙った石川遼(26)=CASIO=は3バーディー、2ボギーの70で追撃したが、1打及ばず2位に終わった。

 10センチのウイニングパットを沈めると、重永は駆け寄ってきた2人の娘を抱き上げ、苦楽をともにした和歌子夫人(28)と喜びの抱擁をした。「優勝したらあれをしてみたいと、ずっと思っていたんです」。プロ11年目で訪れたその瞬間を全身でかみしめた。

 初優勝へ立ちはだかったのは通算14勝の石川遼だった。1番パー4でバーディーを奪って5打差に広げたが、6番パー3で第1打を池に入れて痛恨のダブルボギー。7番、9番もボギーとし、一気に1打差まで迫られた。

 最終日最終組は4回目。過去3回の経験を生かし、この日は今年から心掛けている「ミスに対して怒らないようにする」を徹底した。「6番はやっちゃったなと思ったけど、しようがないと思えた。1打差は気にならなかったし、遼についていこうという気持ちになったのがよかった」と振り返った。

 消化器系の持病があり、この朝も腹痛に襲われたが、強い気持ちで克服した。17番パー5では先にバーディーパットを決めた石川に瞬間的に並ばれたものの、直後にバーディーパットを入れ返して1打差を死守。18番も落ち着いてパーをセーブし、優勝ゴールへ飛び込んだ。

 熊本市出身で熊本地震では家族が被災した。それからちょうど2年。「自分のプレーで復興を目指す地元に勇気を与えたい」と常々話してきたが、この日の初優勝でようやく実現させた。「自分の優勝が少しでも地元を元気づけられたらいい。遼と(片山)晋呉さんに勝って優勝したのは死ぬまで自慢できますね」。遅咲きの花が開花した。

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