【舩越園子の目】ファウラーが黄色のウエアに込めた思い
「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・第1日」(9日、ベルリーブCC=パー70)
「今日は紺色のシャツを着る予定だったけど、黄色いシャツがあってくれたので黄色を着た」と語ったのは初日を2位で発進したリッキー・ファウラーだ。
メジャー大会では惜敗続き。だからこそ、好発進はうれしいはず。だが、彼は「ほろ苦い味だ」と言った。
開幕前日、オーストラリア人選手のジャロード・ライルが白血病と闘い続けた人生を36歳で静かに終えた。黄色は17歳から闘病を続けてきたライルの母国の支援団体とライル自身ががん患者と家族のために立ち上げた財団のトレードマークである黄色いアヒルにちなんだカラーだ。
最初の闘病後、そして2度目の闘病後、奇跡的に回復し、米ツアーに復帰したライルはいつも黄色い帽子をかぶり、明るい笑顔でプレーしていた。そんなライルを「僕の親友」と呼んでいたファウラーは「とても寂しいけど、ジャロードの生きざまを間近に見ることができて僕はより良い人間になれた。『キミの人生の一部に僕を加えてくれてありがとう』と言いたい」。そんな思いを込めて黄色いシャツで初日に挑み、好発進したファウラーに天国からのライルの声援が加われば、メジャー36試合目にして初優勝?そんな展開になりそうな予感がする。
(在米ゴルフジャーナリスト)