【舩越園子の目】ウッズの足音
「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・第3日」(11日、ベルリーブCC=パー70)
首位と4打差の6位で3日目を終えたタイガー・ウッズがクラブハウスへと上がっていく真後ろをたまたま歩く好機を得た。舗装道の上を「ガチャッガチャッ」と音を立てながら歩くウッズ。その音に懐かしさを覚えた。
米ツアーで今でも金属鋲スパイクを履いているのは私が知る限りではウッズとフィル・ミケルソンの2人だけ。彼ら2人が火花を散らした時代、そしてウッズ黄金時代は多くの選手がこの音を立てながら歩き、ウッズの足音が聞こえると大勢のメディアが一斉に動き出してウッズの一挙一動と一言一句を逃すものかと躍起になった。
あの「ガチャッガチャッ」は、ウッズと彼の時代の象徴みたいな音なのだ。
腰の故障等々「いろいろ」を経たウッズは2013年以降、勝利から遠ざかってきたが、5年ぶりの復活優勝と2008年以来のメジャー優勝が達成されるかもしれないという状況を迎えた今年の全米プロ3日目の夕暮れどき。久しぶりにウッズの足音に世界のメディアが殺気立ち、「疲れた」と言いながらも笑顔を輝かせるウッズに次々に質問を浴びせた。
それは昔懐かしい場面の再現のようで、だからこそ明日、ウッズ復活優勝が起こりそうな予感がする。
(在米ゴルフジャーナリスト)