【舩越園子の目】イラッとした後に見えた松山英樹の変化
「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・最終日」(12日、ベルリーブCC=パー70)
全米プロ最終日の松山英樹は4番でダブルボギーが先行したが、5番、6番で連続バーディー。「さあ、これから!」と期待が集まった7番で、3番ウッドのティーショットを大きく右に曲げた。
せっかく作ったいい流れを自分で止めてしまうことを、ここ最近、ほぼ毎試合で続けざまに経験してきた松山。なんとか気持ちを入れ替えて臨んだこの日も、せっかく2連続バーディーでいい流れに変えた矢先にミスショットを打ち、顔を歪めた。
ついに我慢しきれなくなったのだろう。手にしていた3番ウッドで思わず地面を一撃。その形相にティーグラウンドの周囲は一瞬、静まり返った。
すると、松山はタオルを手に取り、3番ウッドのソールに付いた泥を自分で丁寧に拭き取ってバッグへ戻した。
その様子は「ごめんなさい。反省して自分で拭きます」と言っているようで、そんな彼の人間臭さや可愛らしさを垣間見た人々は親近感を抱いたのか、みな微笑んでいた。
今回は35位と成績は振るわなかったが、いつもとは少し異なる面を覗かせたことで、松山ファンはむしろ増えたのではないだろうか。まだ26歳。先は長いのだから、たまには、そういう収穫もあっていいと私は思う。
(在米ゴルフジャーナリスト)