タイガー・ウッズ 1876日ぶり復活V 全米が沸いた「また勝てる日が来るとは」
「米男子ゴルフ・ツアー選手権・最終日」(23日、イーストレークGC=パー70)
タイガー・ウッズ(42)=米国=が5季ぶり優勝を飾り、米ツアー通算80勝目を挙げた。首位で迎えた最終ラウンドは71と1打落としたが、通算11アンダーで2位に2打差をつけて逃げ切った。故障やプライベートのトラブルなどで不振が続いていたが、ヒーローの復活に全米が沸き返った。松山英樹(26)=LEXUS=は65で回り、通算6アンダー4位。同じく4位のジャスティン・ローズ(英国)が初の年間総合優勝を果たし、ボーナス1000万ドル(約11億3000万円)を獲得した。
勝っても絶対に泣かないと、ウッズはスタート前から決めていた。だが、18番パー5でバンカーからの第3打を乗せると、目にうっすらと涙が浮かんできた。開放されたフェアウエーから“USAコール”と“タイガーコール”を繰り返すギャラリーの前で、10センチほどの最後のパットを沈め、ゆっくりとカップからボールを拾い上げると両腕を上げた。「泣かないように必死だった」。79勝目から1876日ぶりの復活劇だった。
3日目までにチャージをかけてトップに立ち、最終日は一転して手堅いプレーで守り抜く-。ウッズの勝ちパターンは全盛時と同じだった。1番で3メートルを沈めてバーディー発進。そこからはひたすらパーを続け、前半は34。この時点で2位と5打差がついた。後半はややティーショットが乱れて3つボギーを打ったが、すでに後続の選手たちは戦意喪失していた。
「また勝てる日が来るとは思わなかった」と、プレー後はウッズも興奮。パワー全盛の米ツアーでは飛距離300ヤード超が珍しくない時代になり、かつては他を圧倒していたドライバーショットの優位性は、すでにない。この日は同組のマキロイに20~30ヤード置いて行かれるシーンもあった。だが、勝負どころの集中力、ピンチを切り抜ける創造力は、今なお他の追随を許さない。それが多くのファンを引きつける理由だ。
米ツアー最多優勝は1965年までに82勝したサム・スニード(米国)。スニードは48歳で80勝し、52歳で82勝目を挙げた。42歳のウッズには、まだ多くの時間がある。「今、まだプレーできることをとても幸運に思う。続けていけば、いつか抜けるかもしれない」。前人未到の大記録へ、80勝はまだ通過点にすぎない。