「男子ゴルフ・マイナビＡＢＣ選手権・最終日」（２８日、ＡＢＣ・ＧＣ＝パー７２）

　プロ１１年目の木下裕太（３２）＝フリー＝がツアー初優勝を果たした。首位から出て５バーディー、２ボギーの６９で回り、通算１５アンダーで並んだ川村昌弘とのプレーオフを制した。３打差３位にＨ・Ｗ・リュー（韓国）、藤本佳則と今平周吾が通算１０アンダーで４位となった。

　１８番パー５で行われたプレーオフ１ホール目、フェアウエーから残り２０５ヤードの２打目を４番アイアンでピン奥４メートルにオン。これをしっかりと沈めると、木下は頭を抱えてしゃがみ込んだ。苦節１１年、ようやくつかんだ初優勝の歓喜を、しみじみとかみしめた。

　「夢の中にいるような感じ。無我夢中で『入った…』くらいの感じで、『勝ったのかな』って感じ。自分でも何て言っていいのか分からない」

　３打リードをつけて折り返したが、１４番でボギーをたたくと、１５番ですぐさまバーディーを取り返したものの、このホールで川村がイーグルを奪って１打差。１６番パー３でピン数十センチにつけるスーパーショットで再びリードを２打に広げたが、川村が１７、１８番で連続バーディーを決め、プレーオフにもつれ込んだ。

　大激戦の末に初勝利を挙げ、「疲れた」と苦笑いを浮かべた木下だが、実はスタートホールから勝利の女神がほほえんでいた。１番で“お先に”のパーパットがカップをくるりと回って縁に止まり、数秒後にコトンとカップイン。「ボールが揺れていたので『頼む』って願っていた。朝一で流れが終わってしまうところだった」と振り返っていた。