ゴルフ新ルールで「わかりやすく」「より楽しく」
2019年の国内ゴルフツアーが、女子のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄・琉球GC)から始まる。2019年1月1日から大幅改定となったゴルフの新ルールが適用された。競技人口を拡大するため「ルールの簡略化」「プレー時間の短縮」が大きなテーマとなっている。新ルールの中で、特にプロツアーにも大きく関わる改正を紹介する。
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◆プレーできるようになった後、40秒以内にストロークを行うことを推奨する
(5・6b「速やかなプレーのペース」)
よりプレーファストが求められ、スロープレーの警告、罰打が増えるかもしれない。
◆プレーヤーがスタンスを取り始めてからストロークを行うまで、キャディーはプレーの線の後方延長線上やその近くに故意に立ってはならない(10・2b「他の援助」)
近年のツアーでよく見かけた光景だが、ルール改正で禁止となった。
1月の欧州ツアーで李昊桐(中国)がパットを打つ際にキャディーがプレーの後方線上に立っていたとして2罰打を科された。ただキャディーは李の後方でラインを確認した後、李がアドレスを取る直前に離れているように見えると物議を醸した。また2月の米ツアーでは科した2罰打が翌日に取り消されるなどし、選手から適用基準について疑問の声が上がった。
これを受けてR&Aは「プレーヤーがスタンスを解いた場合、スタンスを取り始めたとは見なされない」との解釈を示し、キャディーが後方線上に立った後にスタンスを解けば罰打は科されないことになった。
◆球はひざの高さからプレーヤーや用具に触れないように真下にドロップしなければならない
(14・3b「球は正しい方法でドロップしなければならない」)
大きく転がることを防ぐため従来の肩の高さより低くなった。「膝の高さ」はプレーヤーが立った姿勢での膝の高さを意味し、ドロップする時に立った姿勢である必要はない。誤って肩の高さなど間違ったドロップをした場合はやり直せばよく、その回数に制限はない。ただ、やり直さずにプレーした場合、救済エリア内なら1罰打、救済エリア外なら2罰打を受ける。
◆球を捜し始めてから3分以内に見つけることができなければ、紛失となる
(18・2a「球が紛失またはアウトオブバウンズとなる場合」)
従来の5分から3分に短縮された。
◆コース上やコース外のどこでもプレーヤーは罰なしにルースインペディメント(木の葉、枝、石などの自然物)を取り除くことができ、その方法は問わない(例えば手、足、クラブ、その他の用具を使用する)
(15・1a「ルースインペディメントの取り除き」)
これまではウオーターハザードでルースインペディメントに触れたり動かすことや、手やクラブを水面や地面に触れることは禁止されていたが、新ルールではウオーターハザードという概念がなくなり、新しくペナルティーエリアとして統一。ルースインペディメントの処置はジェネラルエリアと同じで、また打つ前にクラブをソールすることもできる。
◆バンカー内のルースインペディメントに触れても罰はなく、取り除くとこともできる
(12・2a「ルースインペディメントと動かせる障害物を取り除くこと)
◆バンカーのアンプレヤブルの球に対する救済の新しい選択肢
(19・3b「追加の救済の選択肢」)
バンカー内の球に対するアンプレヤブルの処置に、2罰打で球とホールを結ぶ後方線上のバンカー外に定めた基点から1クラブレングス内にドロップする選択肢が追加された。プロの試合でもピンまで距離があり、その間に池があるような状況では、新ルールを適用するケースが見られるかもしれない。
◆プレーの線に触れても状態の改善がなければ無罰
(8・1「ストロークに影響を及ぼす状態を改善するプレーヤーの行動)
◆損傷箇所を修理することができる
(13・1c「パッティンググリーン上で認められる改善」)
これまでは禁じられていたスパイクマークも修理することができるようになった。スタートの遅い組ほど傷ついたグリーンに悩まされ、優勝を争う最終組のパットがスパイクマークで跳ねて外れるなんてこともあったが、この改正で心配なし。ただし自然の凹凸やホールの摩耗は不可。
◆自分の球やボールマーカーを偶然に動かしても無罰で元の位置にリプレース
◆球を拾い上げてリプレースした球が風など自然の力によって動いた場合、無罰で元の位置にリプレース。まだ拾い上げていない場合は動いた位置からプレーする
(13・1d「球やボールマーカーがパッティンググリーン上で動いた場合)
うっかりミスでボールを動かしてしまっても、故意でなければ罰打なし。
◆ホールに立てたままの旗竿に当たっても無罰
(13・2a「旗竿をホールに立てたままにする)
ホールに旗竿(ピン)を立てたままパットをすることができるようになった。デシャンボー(米国)は「ピンを立てたまま打つ方がカップインする。可能な限り立てたまま打つ」といち早く宣言し、実際に欧州ツアーで圧勝を飾っている。国内ツアーでも旗竿を立てたままパットするプロの姿を目にする機会が多くなるのでは。