【綾子の視線】日本の女子プロ“甘ちゃん”多い 真の「黄金世代」へ実績残せ

 2019年の国内ゴルフツアーが、女子のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄・琉球GC)から始まる。デイリースポーツでは、ゴルフ記事の充実を図るべく、評論家に岡本綾子氏(67)を迎えた。日米通算62勝、世界ゴルフ殿堂入りなどの輝かしい経歴を携えて、若手育成にも力を入れる同氏が、今季、そして未来へと続くゴルフ界への思いを語った。

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 デイリースポーツ読者の皆様、岡本綾子です。いよいよ今年もトーナメントが始まります。私の評論を通じて、選手の技術が高まり、ゴルフ界発展の助けとなり、ファンの皆さまの楽しみとなることを望みます。

 さて、来年はオリンピックイヤーで、ゴルフ界も大きなニュースになっています。出場枠(各国原則2名までで男女とも60名まで)を巡りどうポイントを稼いでいくのか。来年6月末までの争いになります。このままなら畑岡奈紗は入りそうですが、もう1人が選ばれるのか、選ばれるなら誰かなあ…。興味は尽きません。

 ショックだったのが、パリ大会(24年)でのソフトボールの落選です。上野由岐子なんて、日本を背負いながらオリンピックがあったり、なかったりの繰り返しの中で20年近く頑張って来たのに。動きも大きく、激しい分、危険もケガもある中での20年は、本当のアスリートでしょう。

 そう考えると日本の女子プロ(のピーク)は3~4年の命です。“甘ちゃん”が多いですよね。闘争心が欠けていき、ぜいたく病が顔を出す。選手寿命が短い。毎週試合があるから大舞台に「絶対に、勝つんだ」と照準を合わせていくのが、上手じゃない。一方で、例えば韓国勢は長年プレーして名を残す選手が多い。考え方や姿勢、周囲の環境も違うのかな、と思います。

 ここを変えていくには、やはり海外に目を向けることも必要でしょうし、五輪代表ともなれば騒がれて、お尻をたたかれて、ハードな合宿の先に、伸びる選手も出てくる。同時にダメになる、犠牲者も出るかも知れません。JGAの腕の見せどころで、見守っていきたいですね。

 トーナメントでは、注目度が高いのは「黄金世代」(畑岡、勝みなみ、新垣比菜、小祝さくら、原英莉花、河本結ら1998~99年生まれ)の面々でしょう。昨年までは、周囲に「黄金世代」と言われ、引っ張られてきた感じがありますが、今年は自分たちで本当の「黄金世代」と言われる実績を残してほしいですね。例えば今の若手の主流は有言実行ですよね。「あれしたい」、「どうなりたい」を口にする。で、それが結果として“大ぼら”になっても「まあ、いいじゃん」といった軽い流れにある。だからこそ、黄金世代の選手には余計、頑張ってもらいたい。

 1カ月、2カ月、大きなスーツケース1個で渡り鳥のような生活をしながらタフになっていく。そこまでのめり込むから、夢を口に出すのが怖くなる。そんな若い選手が出てくればいいな。

 少し気になるのが、LPGAとメディアとの関係が放映権を巡って悪化していることです。メディアは火のないところから煙をおこすこともある。LPGA小林浩美会長はそれも承知している。ところがビジネスなんて経験がないのにやろうとした。特に放映権はビッグビジネスで、素人が前面に立つべきではない。これは経営コンサルタントのアドバイスをもらうとか、両者の弁護士同士で話すなど、分かる人が根回しをする必要があったのでは!?

 なのに浩美会長が鉄砲玉になってしまった、という側面はあります。浩美会長にも、これを置き土産に会長職を退く、というビジョンが頭にあったとは思います。すぐには片付かない問題です。オリンピックに向けて何とか年内にクリアにしておいてほしいですね。

 また、これに反応する形で、選手会が一丸となって対抗組織となるような動きもあります。トーナメントが始まろうという時に、変な関係にならなきゃいいけど。私はあまりそちらにも協力したくないですね。トーナメントに出る人は、ゴルフクラブを振り回してなんぼ、です。政治がしたければ、まずは腕を磨いて、世界に肩を並べて、その後、40歳を過ぎたころ、試合に出られなくなってからでいいんじゃないでしょうか。

 女子ゴルフ界にも課題はありますが、それでも、男女を比較すればはるかに女子人気は高い。男子はねえ。プロアマ戦で品行の問題がニュースになってJGTO青木功会長や石川遼選手会長たちがスポンサーに謝罪した件など、情けないです。石川遼みたいなのばっかならいいのに(笑)。彼のデビュー当時、他の女性ギャラリーに交じってプレーを見たことがあるのですが「彼なら私の息子でもいいな」って思ったことがあります。

 最近の女子プロもかわいい選手、美人プレーヤーが多くなって人気が出た。しかしシニアくらいの年齢になると、肩で風切ってた男子プロが勉強して、プレー中もギャラリーにおしゃべりしたりと変わってきて、レギュラーツアーよりシニアの方が受けがいいですもんね。

 男女を問わず、プロはまず企業スポンサーがあって私たちのツアーが成り立つなど、プレー以外の勉強もたくさんしてほしいですね。

 さて、今季初戦です。開幕戦はドキドキ感も大きいから、ベテランが強い傾向はありますが、期待の黄金世代はどうでしょうか。技術を言えば、小祝さくらはアプローチがうまい。勝みなみは曲がらない良さがある。飛んで曲がらないとなれば原英莉花も期待大ですね。

 新ルールをどう克服するのか、も注目です。20歳の選手でも、10年以上、旧ルールでやってきた。クラブをぶんぶん振ってるとつい、ルールの思考が一瞬、白くなることがあるんです。そのあたりはキャディーとのコンビネーションも大切かな。ただ、このルールで選手の判断力がより問われるようになったのはいいことです。キャディーは距離、風向き、芝目などの情報収集が仕事、プレーするのは私!、くらい選手が独立してほしい。72回のショットすべてキャディーに指図されるような選手ではお先真っ暗です。

 ちょっと、脱線が多かったかな?でも今季も見どころの多いゴルフ界です。私も評論を通じて大いに盛り上げたいと思っていますので、お付き合いよろしくお願いいたします。(デイリースポーツ評論家)

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