宮本、令和初V 18番10メートルバーディーパットで奇跡のもう一転がり

 「男子ゴルフ・中日クラウンズ・最終日」(5日、名古屋GC和合C=パー70)

 1打差2位から出た宮本勝昌(46)=ハートンホテル=が、首位タイで迎えた18番で約10メートルのバーディーパットを沈め、最終盤までもつれにもつれた混戦に終止符。通算9アンダーとして2年ぶりのツアー通算12勝目を決めるとともに、元号が「令和」になって最初の大会の優勝者となった。昨季賞金王の今平周吾が1打差2位。ベストアマチュア賞は4アンダー14位の金谷拓実(東北福祉大3年)が獲得した。

 18番、10メートルのバーディーパット。カップ直前で止まりそうになったが、最後の一転がりで沈む。打った宮本はガッツポーズさえ忘れて一瞬ぼうぜん。あたりは騒然。令和最初の優勝は、ツアーきってのエンターテイナーが、誰をも喜ばせるパフォーマンスで決めた。

 1番でいきなりダブルボギー。だが、その後は粘った。「大会5勝の青木(功)さんから聞いた通り、グリーンエッジ手前1メートルから攻めた」。そして、先に上がった今平と同スコアで迎えた18番。「本音は(今平)周吾とプレーオフをしたら勝てないと思っていた。最後の一転がりは…何だったんでしょう」と笑いが止まらない。

 06~11年にかけ151試合連続出場のツアー記録をつくった鉄人。そんな体に異変があったのは、昨年6月。地面がゆがんで見える、直線がなくなっている、ゴルフどころか歩けない-。脳神経科でフィシャー症候群と診断された。ウイルスによる視覚障害で、効果的な薬はなく、家で静養するしかなかった。

 幸いにも2週間程度で症状は収まったが、ゴルフの調子は戻らず。生涯獲得賞金10億円突破のレジェンドが、00年から守ってきた賞金シードを失った。「病気もあるが、昨季はまったくうまくいくことなく終わってしまった。年齢のせいなのか…」と悩んだ。

 それが今季の国内2戦目で「これまでで一番びっくりな優勝」を果たし、「令和の男になりました!」とファンに宣言。ツアーで最も笑顔の似合う男の顔は、いつまでも五月晴れだった。

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