渋野日向子、初Vがメジャー!16年・奈紗以来の快挙 勝因は「やっぱり笑顔」
「女子ゴルフ・ワールド・サロンパス・カップ・最終日」(12日、茨城GC東C=パー72)
令和時代の到来にふさわしい新星が飛び出した。首位で出た黄金世代の渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算12アンダーとしてペ・ソンウ(韓国)との一騎打ちに競り勝ち、ツアー初優勝を果たした。メジャー大会で初優勝したのは2016年日本女子オープンの畑岡奈紗以来、日本人選手8人目の快挙で、来年からの3年シードを獲得した。ペ・ソンウが通算11アンダーで2位。
いかにも渋野らしい優勝シーンだった。最終18番、2メートルのバーディーパットを外し、ギャラリーのため息を誘った。直後に70センチのウイニングパットを沈めて苦笑い-かと思いきや、その顔が見る見るくしゃくしゃになり、大粒の涙が流れ落ちた。
「さすがに涙がこみ上げてきました。うれし涙は高2の時以来ですかね。悔し涙はしょっちゅうですけど」
初めての最終日最終組でペと一騎打ち。のどから心臓が飛び出しそうな状況で、百戦錬磨のベテランのようなプレーを見せた。1番でボギー先行も2番で3メートルを入れてバーディー。4番のボギーの後も続く5番で10メートル強のバーディーパットをねじ込んだ。
12アンダーで並んで迎えた16番パー4。フェアウエー中央に大木がそびえる最難関ホールだ。左足下がりのフェアウエーから残り172ヤードの2打目、4番ユーティリティーで放った打球は木の左からやや右に曲がりながらグリーンを捉える。着実にパーをセーブし、2打目を右の林に打ち込みダブルボギーとしたペを突き離した。
令和の“スマイルクイーン”の誕生だ。この日はミスしてもナイスショットしても常に笑顔。「前は喜怒哀楽を表に出していた。でも、それだとスコアが悪いと気づき、今は何があっても笑っていれば何とかなると思っている。今日の勝因?やっぱり笑顔ですかね」と屈託なく話した。
黄金世代で6人目のツアー優勝。初優勝をメジャー大会で果たした日本人選手は史上8人目、20歳178日での優勝は大会史上最年少の快挙だが「私より前に黄金世代がたくさん優勝しているのでピンとこない。でも、今日の優勝が生まれてから一番うれしい」と謙虚に受けとめた。
メジャー制覇で3年シードを手にし、賞金ランクは大会前の22位から2位へ急浮上した。今夏の全英女子オープン出場のチャンスも広がったが「3年シード?それ本当ですか?全英?それも本当ですか?出てみたいです。私、すごい試合で勝ってしまったんですね…」。どこまでも度量の大きい新星が、女子ゴルフ令和新時代の扉を開けた。