小祝さくらサク 大会記録更新17アンダーで逆転初V 惜敗続きからようやく開花

 「女子ゴルフ・サマンサタバサ・レディース・最終日」(21日、イーグルポイントGC=パー72)

 黄金世代から、また新たなヒロインが登場した。2打差2位から出た小祝さくら(21)=ニトリ=が7バーディー、ノーボギーの65で回り、大会記録を更新する通算17アンダーで逆転優勝。これまで2位が4度、3位が2度と惜敗が続いていたが、ようやく栄冠をつかんだ。1998年度生まれの黄金世代では8人目のツアー優勝。前日首位のイ・ミニョン(韓国)は68で1打差2位に終わった。

 優勝インタビューの第一声は「お疲れサマンサ」…。涙も、ガッツポーズもない。ウイニングパットを沈め、はにかむような笑みを浮かべただけ。時に天然、時にマイペースの小祝は、悲願のツアー初優勝を達成しても普段と何ら変わった様子がなかった。

 ラウンドでは見事な集中力を発揮した。事実上のマッチレースとなり、1打ビハインドで迎えた10番で4メートルをねじ込みバーディー。今大会初のボギーをたたいたイ・ミニョンを逆転した。それでも心に揺らぎはなかった。

 20日夜、最終日は前半を4アンダー、後半を3アンダーで回ることをイメージして寝た。「そこに向かってプレーするだけ。7アンダーを出すことしか考えず、それで負けても悔いはないという気持ちだった」

 狙い通り前半を4バーディー、ノーボギーでターン。後半も13番までに3つスコアを伸ばした。優勝争いの重圧を感じさせず、淡々とリードを守り抜いた。「今まで他の選手のことは気にしないと言いながら頭にあった。今日は7アンダーのことしか考えずにやれた」。母ひとみさんは「去年とはメンタルが違う。ミスしてもカバーできるようになった」と成長を認めた。

 ようやく惜敗続きにピリオドを打った。初優勝は同年代の河本や渋野らに次々と先を越されたが「勝ってもおかしくない技術を持った子が多く、やっぱり勝ったなと思いながら見ていた」と焦りはなかった。

 マイペースぶりは、ひとみさんが「小さい頃から3テンポくらい遅い子だった」と評するほど。優勝会見では天然ぶりも全開。「今までで最もうれしい瞬間か」との問いに「BTSのライブで前から2列目の良い席だったことの方がうれしかった」と、照れながら返して爆笑を誘った。今後もプレーだけでなく、言動からも目が離せそうにない。

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