ウッズ“伝説”82勝!54年ぶり米ツアー史上最多 本人もビックリ!日本で誕生
「男子ゴルフ・ZOZOチャンピオンシップ・最終日」(28日、アコーディア習志野CC=パー70)
最終ラウンドの残りが行われ、タイガー・ウッズ(43)=米国=が、サム・スニード(米国)に並ぶ米ツアー史上最多の82勝目を挙げた。日米ツアー共催として初めて行われた今大会。12番から再開したウッズは7ホールで一つ伸ばし、67の通算19アンダーで逃げ切り、初日からの首位を守る完全優勝で初代王者となった。3打差の2位に松山英樹(27)=LEXUS、石川遼(28)=CASIO=は通算1オーバーの51位だった。
伝説は午前9時35分に訪れた。最終18番、4メートルのバーディーパットを沈めたウッズは右手を軽く上げ、左手のクラブを高々と掲げた。1996年から積み上げた優勝回数は82へ到達。スニードが持つ通算優勝記録に54年ぶりに肩を並べた。米国ではない。偉業は日本で成し遂げられた。
「大きな意味を持つ数字。50勝したあたりから意識し始めた。安定して長く(成績を)残し続けた結果。サムは50代で、自分は40代で達成した。アメリカ以外での達成に驚いた」。海外での米ツアー優勝は7カ国目。歴史の1ページに日本を刻み込んだ。
赤のウエアに黒のベスト、パンツ。勝負服をまとい、2位に3打差をつけてスタートした12番。残り7ホールなら簡単に逃げ切るかと思われたが、2打目をグリーン手前のバンカーに入れ、3打目のアプローチも寄らず、ボギー。2563人のギャラリーのため息とともに、一つ前の組でプレーしていた松山の足音が聞こえてきた。
自ら招いた嫌な流れを断ち切ったのは14番パー5。3打目をピン奥3メートルにつけ、バーディーを奪った。ただ、前を回る松山組の歓声が「気になった」と焦りを感じ、18番を「パーで上がれば1打差で優勝」と読み間違えていたという。ここをバーディーで締め、3打差の会心勝利となった。
「5日間の大半をリーダーとして過ごしたので、とても長く感じた。2カ月前に手術し、優勝は簡単ではなかったが、自分の両手を信じることは変わらなかった」
今年8月に手術した左膝の状態は万全ではないが、数カ月ぶりにしゃがんでラインを読めた。背中の痛みも少し和らぎ、スイングのスピードが戻ったという。最後まで首位を譲らない完全Vは、万全な体調がもたらした。
2002年に89歳で亡くなったスニードは、52歳で82勝目を挙げた。かつて、米国で2ホールだけ一緒にプレーしたことがあるという記憶をたどりながら、今後のゴルフ人生についても語った。
「ぜひ52歳までプレーし続けられたらいいね。未来は少し明るくなった」。レジェンドに自らの姿を重ね合わせた43歳。大会初代王者にも輝いた生ける伝説は、ただ一人、異次元の空間を走り続けている。