【綾子の視線】フィールドにいる以上に大きくなる「渋野日向子」という存在

 「女子ゴルフ・LPGAツアー選手権リコー杯・第3日」(30日、宮崎CC=パー72)

 賞金ランキング3位の渋野日向子(21)=RSK山陽放送=が5バーディー、4ボギーの71で回り、通算5アンダーの3位とした。首位のイ・ボミ(韓国)とは2打差。逆転優勝、さらには鈴木愛、申ジエと争う賞金女王も十分狙える位置で最終ラウンドに臨む。選手の心理や技術、勝負の流れなどを、デイリースポーツ評論家の岡本綾子氏が自身の視線でお伝えする。

  ◇  ◇

 渋野さんはたいしたもの、すごい。全英女子オープンで優勝して「スマイルシンデレラ」と呼ばれていますが、うまく例えたものだなと改めて感じました。カボチャの馬車に乗っている「シンデレラ」を、まわりの小動物みんなが味方しているようですもの。

 渋野さんはまわりのすべてを信じ切って、自分は目の前の一打に懸ける集中力があるから、何か月もカボチャの馬車に乗っていられる。今まで結果をすねたり、わがままを言ったりするプロゴルファーを多く見てきましたが、彼女にはそういうところがない。いい意味でのアスリート。本当に感心します。

 それにしても、ここで優勝して逆転賞金女王なんてことになったら、渋野さんの人生はどうなっていくのか。クラブを振っているうちは自分を見失うことはありません。ただ、コースの外に一歩出ると、「渋野日向子」という存在はフィールドにいる以上に大きくなる。どういう立ち振る舞いをしていいか分からなくなり、そこで泳がされてしまうとゴルフ寿命は短くなってしまう。私も現役時代に経験しましたから、身近に感じるのです。世間の色目線をどうコントロールしていくか、これが今後の彼女の大仕事になります。

 一方、賞金女王を争う鈴木さんは自分の立ち位置を理解し、ノルマを果たそうとする意志がすごく伝わってきます。申ジエさんもこれ以上、自分のプレーをあきらめていはいけないという意志を貫いています。この人たちは本当に強いな、と思う。さすが百戦錬磨のつわもの、です。

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