河本結、切り替えできなかったメンタルの“覚醒” 勝利の神様が微笑んだ
女子ゴルフツアーが25日、アース・モンダミンカップ(~28日、千葉・カメリアヒルズCC)で開幕する。今季開幕を前に、昨季にツアー初優勝選手が誕生した8大会を振り返る。
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第2回はファイトあふれるプレーで人気の河本結(21)=リコー=が、初めて全国にその名をとどろかせた昨季ツアー4戦目のアクサ・レディース(19年3月29~31日、UMKCC=パー72)。最終日、単独首位から出た河本が4バーディー、2ボギーの70で回り、トーナメントレコードを更新する通算15アンダーで初優勝を果たした。
18年のステップアップツアーで4勝を挙げて賞金ランク1位になったとはいえ、レギュラーツアー本格参戦4試合目でいきなりの優勝。その陰には前週のTポイント×ENEOSゴルフトーナメント最終日に経験したメンタル面での“覚醒”があった。
その最終日。初のトップ10入りを目指して7位からスタートしたが、13番パー5でつまずいた。3Wで打った2打目は右の浅いラフ-のはずが、探しても発見できず3分間の捜索時間が経過。ロストボールとなり、このホールをダブルボギーにしてしまった。切り替えができないまま臨んだ14番で連続ダブルボギー。結局78をたたいて37位に沈んだ。
この出来事が当時20歳の女子プロを大きく成長させるきっかけになる。河本は翌日の月曜日にこう思いを吐き出した。
「猛反省しているのがロストボール直後のメンタルです。ロストになったのは仕方がないと思おうとしても、悔しくて切り替えができなかった。気持ちの整理がつかないまま次の14番をプレーし、連続ダブルボギー。現実をしっかり受け入れて次の1打に集中しなくてはいけないのに…。その時、ギャラリーの皆さまは最後まで応援してくれていた。自分のことでいっぱいで、その声援にこたえられなかったのが残念でなりません」
アクサ・レディース最終日の河本は前週とは見違えるように堂々としていて、自分自身をしっかりコントロールできているようだった。1番で第2打を木に当ててボギー発進となったが、動じる様子はまったくなかった。4番でカラーから5メートルを沈めて優勝への流れをキープ。2位と大差をつけて迎えた最終18番パー5も果敢に2オンを狙い、バーディーで締めた。
大会初日に2位発進を決めた後、河本はすがすがしい笑みを浮かべながらこう話していた。「あの(ロストボールの)時は悔しくて気持ちが切れたけど、今日は長いパットがたくさん入った。やっぱり神様は見ていてくれる。今週は神様が微笑んでくれるようなゴルフをしたい」。猛反省の前週から1週後にはスポットライトの真ん中へ。自分としっかり向き合うことで身につけた強い心で、河本は勝利の神様を振り向かせた。