【綾子の視線】畑岡1年間の成長 渋野、河本は「私はこんなものか」という思い持って
「米女子ゴルフ・全米女子プロ選手権・第2日」(9日、アロニミンクGC=パー70)
13位から出た渋野日向子(21)=サントリー=は2バーディー、7ボギーの75と崩れ、通算5オーバーの46位に後退。畑岡奈紗(21)=アビームコンサルティング=は69と1打伸ばし、通算1オーバーで首位と5打差の19位に浮上。河本結は2オーバー24位、野村敏京は6オーバー62位で、日本勢4人全員が決勝ラウンドに進んだ。金世ヨン(韓国)が4アンダーで首位に立った。デイリースポーツ評論家の岡本綾子氏(69)が第2日までを振り返った。
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日本ツアーで優勝した実績を持って、米ツアーに臨む。それが裏目に出ているんじゃないかな。渋野さんと河本さんは、心のどこかに「こんなはずじゃない」という思いがあるように感じます。それを思い上がりとまでは言いませんが、「私はこんなものか」という思いを持ってほしい。優勝は実績として残りますが、それを実力とはき違えてはいけません。
私は現役時代に「こんなはずじゃない」と思ったことは一度もありません。スポーツの世界では技術を磨かないと、練習をしないと数字は出せません。数字が出ないということは練習が足りないということ。「今の私はこんなものか。じゃあ仕方ないな」と受け入れ、試合後にひたすら練習したものです。
畑岡さんもアマチュアで日本女子オープンに勝ち、翌年から米ツアーに臨みましたが、1年目に苦労したことでスタート地点が違う。「私はこんなもんじゃない」と見せつけてやろうという、強い思いが伝わってきます。昨年に渋野さんが全英女子オープンで優勝したことで、彼女は本当に悔しい思いをしたはず。そこで「自分に足りないものは練習だ」と思えるのが畑岡さん。この1年間での成長を感じます。
特に今季の畑岡さんは大会前に長短の休みを挟んでも、関係なく初日から数字を出しています。練習だったりメンタルだったり、どのような準備をして大会に合わせてきているのか、逆に私が教わりたいぐらいです。メジャーに勝つまで、あと一歩のところまで来ていると思います。
決勝ラウンドでは最善の、後悔のない一打をしてもらいたい。メジャーだからこそ、コースを去る時に「あの一打さえなければ」という思いは持ってほしくない。自分に何を求められているのか-、よく考えて一打、一打を決断していってほしい。まだ36ホールを残して首位と5打差。十分に優勝の可能性はありますし、期待しています。