【綾子の視線】渋野日向子のV逸 韓国勢との「ショット力」の差

 「女子ゴルフ・全米女子オープン・最終日」(14日、チャンピオンズGC=パー71)

 単独首位で出た渋野日向子(22)=サントリー=は4位に終わり、大会は韓国の新星、金阿林の逆転初優勝で幕を閉じた。2位には世界ランキング1位の高真栄が入り、終わってみれば韓国勢の強さが際立つ形に。本紙評論家・岡本綾子氏は渋野の健闘をたたえつつ、韓国勢との差を「ショット力」と分析。また、日本勢が韓国勢に負けじとメジャー大会を席巻する時代が来ることを予見し、2021年シーズンの活躍に期待をかけた。

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 終わってみれば、また韓国勢から新しいメジャー優勝者が誕生。もう、びっくりです。韓国の選手はやはりスイングがしっかりしています。金阿林さんもしかり。特にアイアンショットが最高で、最後の3ホール連続バーディーは圧巻でした。

 とはいえ、渋野さんも本当によく頑張ったと思います。アプローチは去年より上手になりましたね。ベアグラウンドから打った5番なんてスーパーパーセーブ。今まではアプローチのスイング中にへっぴり腰になっていたのが、今大会は体の動きに危なげがなかった。これは練習のたまものでしょう。

 「ドライバー」は多少曲がったって問題はありませんが、「グリーン回り」という宿題だけは絶対にやってこないとプロとして落第してしまう。上手になるのが当たり前、下手なのは致命傷-と思って取り組まないといけない必修課題です。去年より今年、今年より来年と、もっともっと上手になっていってもらいたい。

 優勝した金阿林さんや2位に入った高真栄さんとの差は、ショット力にあります。優勝争いのプレッシャーの中で、いかに球筋を思い描いて打てるか。例えば私がテレビ解説をしていて、高真栄さんは私の思う球筋と合っているから話しやすい。また、だからこそバーディーの数が多いとも言えます。ただ、これは経験値の差でもあります。これからの成長に期待、です。

 大会を終えて、渋野さんにはいろいろな「欲」が出てきたことでしょう。「欲=課題」だと思って練習に励めばいい。昨年の全英での優勝は『この辺をうろうろしてないで、ここらで一気にジャンプアップしなさいよ』というサインだったのかも。今年は開幕から苦しんだことで、練習に時間を割くこと、球数を打つことの大事さに改めて目を向けられたんじゃないかな。渋野さんにとって、結果的にいい1年になったと思いますよ。

 さて、これで多くの選手はしばしのオフに入ります。来年はどのようなツアーになることでしょう。できれば有観客での開催を望みたい。ギャラリーの視線や歓声、ため息があってこそ選手は強くなるものですから。そしてやはり、日本勢にメジャーを勝ってもらいたい。次々とニューヒロインが現れる韓国勢のようになることも、決して無理だとは思いません。2021年は五輪もありますし、日本勢の活躍を期待しつつ、来春の開幕を心待ちにしたいと思います。

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