稲見萌寧が8戦4勝「自分のプレー」で申ジエら制す 不動の記録・年間10勝にも期待
「女子ゴルフ・フジサンケイ・レディース・最終日」(25日、川奈ホテルGC富士C=パー71)
2位から出た稲見萌寧(21)=都築電気=が5バーディー、1ボギーの67で回り、トーナメントレコードの通算12アンダーで逆転優勝を果たした。スタジオアリス以来2020-21シーズン5勝目で通算6勝目。今年は8戦4勝の圧倒的な強さで勝率を5割に乗せた。
最後の最後まで攻める姿勢を崩さなかった。優勝が確実になっていた最終18番、稲見は左奥10メートルのバーディーパットをしっかりと打ち切った。ボールは惜しくもカップの縁に止まったが、このウイニングパットをタップイン。ギャラリーの声援と拍手に万歳でこたえた。
「また勝ててよかったと思います。8戦4勝をできたのもうれしいです」
トップの山下に1打差でスタートすると、1番のミラクルバーディーですぐに並んだ。第1打を左バンカーに打ち込んだが、第2打をピン左奥8メートルに乗せ、難しいスライスラインを読み切った。「最初のホールでバーディーを取れたのがものすごく大きい。2番もバーディーを取れていい流れを作れた」と笑顔で振り返った。
最終日にスコアを伸ばすことから“ファイナルラウンドクイーン”の異名を持つ申ジエとの一騎打ちを堂々と制した。ヒタヒタと背中を追ってくる元世界ランク1位を突き離したのは14番。ボギーをたたいた相手を尻目に1メートルのバーディーパットを決め、右手の拳を小さく突き上げた。
「相手が誰とかまったく関係なく、自分のプレーを最後までしっかりやろうと思った」
これで今年は8戦4勝の勝率5割。優勝賞金1440万円を加算し通算獲得賞金1億円の大台を突破。賞金ランクも3位に浮上した。不動裕理が打ち立てた年間10勝の大記録を更新する可能性も出てきた。この日キャディーを務めた奥島誠昭コーチは「一番いいところはショットの距離感。勝つたびにどんどん強くなっていく」と目を細めた。
99年度生まれで黄金世代とプラチナ世代の間にはさまれたいわゆる“はざま世代”に属するが、その輝きでは黄金、プラチナを凌駕(りょうが)する。「今年何勝するかなんてまったく考えていない。勝てるだけ勝ちたいし、一番は(国内)メジャー優勝です」。稲見を中心に女子ゴルフが回り始めた。