笠りつ子、単独首位発進 暴言騒動、引退考え1年半 5年ぶりVへ「全部良かった」
「女子ゴルフ・ワールド・サロンパスカップ・第1日」(6日、茨城GC東C=パー72)
ツアー通算5勝の笠りつ子(33)=京セラ=が7バーディー、1ボギーの6アンダー66をマークし、単独首位発進を決めた。2年前に起こした暴言問題から立ち直り、2016年ニトリ・レディース以来、5年ぶり優勝へ好スタートを切った。1打差2位に大里桃子、さらに1打差の3位に菊地絵理香と西郷真央が続いている。
全てがかみ合った。33歳の笠がメジャー仕様の難しいコースセッティングで見事なバーディーラッシュを見せた。66での単独首位に「今日一日、パーフェクトに近いプレーができた。ティーショットが良く、セカンドも良く、パターも良く、全部良かったです」と笑顔で振り返った。
前半インは11、12番で2メートル弱、15番は1メートル、18番も1メートル弱と次々とバーディーチャンスをものにした。アウトも3バーディー、ノーボギー。1番で第3打を50センチにつけ、7番で8メートル、8番は5メートルと長いパットも沈めた。
最後の優勝から5年が経過しようとしている。その間の19年、ツアー会場での自身の不適切発言から大騒動となった。「あのことがあって一度、ゴルフをやめようと思った」と引退も考えたが、ファンやスポンサーなど周囲の温かい声や励ましが身にしみ、クラブを置くことを思いとどまった。
「これまでは自分のためにゴルフをやってきたけど、応援してくださる皆さんのためにもう一度やりたいという思いで今、ここにいます」。また「私がいい結果を残すことで、皆さんが喜んでくれるならと思って今はやっています」と戦いの場に戻ってきた理由を明確に説明する。
今年から熊本子ども食堂プロジェクトに参加し、1バーディーにつき、肉1キロを寄贈している。地元の子どもたちの喜ぶ顔を見たいという思いもモチベーションになっている。
前週は同じ熊本出身で、34歳の上田桃子が2年ぶりに復活優勝を飾った。「年齢が近い桃ちゃんの優勝を見て、私も頑張りたいと思った」と刺激になった。次は笠の番だ。
「今は体がいい感じで、体と気持ちがマッチしている」と心身ともに充実している。「5年ぶりとかは考えず、目の前の一打に集中して、自分のベストを尽くせたらいい」。16年以来の優勝、しかも初のメジャー制覇が最高の恩返しとなる。
◆笠の暴言問題 2019年10月下旬に兵庫県で開催されたNOBUTAグループ・マスターズGCレディース大会前、ストレッチなどに用いるタオルの貸し出しを巡り、笠がコース副支配人に対し「頭が固い。死ね」などと不適切発言。同11月以降のツアー出場を自粛。日本女子プロゴルフ協会から厳重注意処分を受け、処分の一つとして義務づけられた新人セミナーでの講座を同12月に受講した。