笹生優花の「すごさ」は「目標達成のため造り出された強じんな体」 大西翔太氏が解説
「女子ゴルフ・全米女子オープン・最終日」(6日、オリンピック・クラブ=パー71)
笹生優花(19)=ICTSI=が、通算4アンダーで並んだ畑岡奈紗(22)=アビームコンサルティング=とのプレーオフを3ホール目で制し、大会史上最年少優勝を飾った。プロコーチの大西翔太氏(28)は笹生の快挙達成に当たり、その「すごさ」に迫った。
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優花ちゃんの「すごさ」は何といっても飛んで曲がらないドライバーショットにあります。これは8歳のころからお父さんの正和さんと二人三脚で取り組んできた下半身強化のたまものです。
聞くところでは両足に2・5キロの重りをつけてのランニング、1日3000回のスクワットをベースにしてきたといいますが、この強じんな体が飛んで曲がらないショットを支えています。
優花ちゃんははやりの地面からの力を使って飛ばしています。ダウンスイングで踏み込んだ左足で地面を思い切り蹴り上げ、その力を回転力(トルク)に変えているわけですが、強い体幹があるからこそなせる技です。体幹が弱いと前傾角度が変わってしまい、フェース面の向き(アングル)が変わって、真っすぐに飛ばすことが難しくなります。優花ちゃんは人並み外れたトレーニングの量と質で作り上げた体があるため、スイング中ほとんど軸と前傾角度が動きません。
トレーニングは実はメンタルの強化にもつながります。これだけ鍛えたんだから曲がるはずがないというわけです。優花ちゃんは今回もプレーオフで迷うことなく振り切っていましたが、勝負が掛かったプレーオフで振り切れる自信も「すごい」といえます。
優花ちゃんは男子のローリー・マキロイのスイングを完全コピーしたそうですが、少し前まで女子にマキロイのスイングをすることは不可能といわれていました。優花ちゃんだけでなく今では女子のトレーニング方法も男子並みに変わってきました。近い将来は、優花ちゃんのようなスイングをする女子選手が増えてくるはずです。女子ゴルフ界も男子同様にパワーゴルフへの転換期を迎えているわけです。優花ちゃんの全米女子オープン制覇はその象徴といえるでしょう。
◆大西翔太(おおにし・しょうた)1992年6月20日、千葉県生まれ。青木瀬令奈のコーチ兼キャディーとしてツアーに帯同。女子プロのプレーを間近で見られる立場にある。ゴルフに対しては「バカ」がつくほど真面目であらゆる理論を日々研究中。雑誌などのレッスンでも活躍している。昨年初シードを決めた大西葵は妹。178センチ、75キロ。