渋野日向子の笑顔帰ってきた 悪夢の17番1オン、通算1オーバー40位まで追い上げ
「米女子ゴルフ・全米女子プロ選手権・最終日」(27日、アトランタ・アスレチックC=パー72)
68位から出た渋野日向子(22)=サントリー=は6バーディー、1ボギーの67と5つ伸ばし、通算1オーバーの40位まで追い上げた。条件だった単独5位以上には届かず、東京五輪代表入りを逃した。メジャー2連勝を目指した笹生優花も67をマークし、通算3アンダーで21位。22歳のネリー・コルダ(米国)が2日目から首位を守り、通算19アンダーでメジャー初優勝を飾った。
悪夢を拭い去る一打に、悲劇を知る観客が一斉に沸き返った。前日は池に4発入れて「10」をたたいた17番パー3。渋野がグリーン真ん中にリベンジの1オンに成功。「乗った瞬間に、すごく『うわっー!』って言ってくれた。びっくりした」。本人も耳を疑うほどの盛り上がりだった。
最も喜んだのが地元のキャディー、ユセフ・ワゼールディン氏だ。2日目終了後、帯同キャディーの藤野圭祐氏に新型コロナ陽性反応が出たため、3日目から急きょコンビ結成。英語ができない渋野とはうまくコミュニケーションが取れず、17番で距離計算を間違えて苦しんだ時も申し訳なさそうにしていた。
この日は朝早くコースに来て、心配そうに渋野の到着を待った。魔の17番ではティーショットを見ていられず、目をつぶっていた。歓声で1オンが分かると大喜びで飛び上がり、笑顔で渋野とハイタッチを交わした。
「ユセフさんがいなかったら死んでいたくらいに助けられた。今日はしゃべれなくてもコミュニケーションを取れた。めちゃくちゃ楽しかった。1オンしてあんなに喜んでくれるキャディーさんは日本では出会わない」と感謝しきりだった。
4月からの海外遠征は出場7戦で最高31位、メジャー2大会で予選落ちし、五輪代表も逃した。それでも米国でやりたい思いは「どんどん強くなってきている。出た過ぎてしようがない」という。
「この3カ月、何か成長したかなぁ。飛距離はちょっと伸びたかな。体重は減らなかった。ハハハ…。でも、いろんなことを経験できた」。涙に暮れた前日から一転、シブコは笑って日本に帰ってくる。