渋野日向子 笑顔の3位 思い出の大会で再びキラリ 充実感たっぷり「この順位は奇跡」
「女子ゴルフ・AIG全英女子オープン・最終日」(7日、ミュアフィールド・リンクス=パー71)
渋野日向子(23)=サントリー=は1打差でメジャー2勝目を逃した。71で回り、通算9アンダーから伸ばせなかった。畑岡奈紗は7位、山下美夢有は13位、堀琴音は15位で、4人とも15位以内に与えられる来年大会の出場権を得た。前日首位のアシュリー・ブハイ(南アフリカ)が、通算10アンダーで並んだ田仁智(韓国)とのプレーオフを4ホール目で制し、メジャー初勝利を挙げた。
渋野に敗者の暗さはなかった。「率直には、めちゃくちゃ悔しい。でも、最近の調子からすれば、この順位は奇跡」と充実感たっぷりだった。
5打先を走るブハイと最終組で回った。優勝した2019年大会の最終日最終組で一緒に戦った相手だ。3年前は渋野が18番でウイニングパットを決めた時、ブハイが万歳をして勝利をたたえてくれた。2人の間にバチバチムードはなく、互いの好プレーに「ナイス!」と声をかけ合った。
イーグルやバーディーもあればボギーもある慌ただしい展開だったが、「本当に、心の底からゴルフを楽しいと感じていた」という。「怒ってしまった場面はあったが、自分のミスに怒って次のホールのティーショットに生かすっていうことが最近なかった。これまでなら諦めていたが、怒りを力に変えられた。久しぶりの感覚だった」と振り返った。
14番を今大会初のダブルボギーにしたが、17番でバーディー。15番でブハイがトリプルボギーをたたき、1打差で18番へ。その最終ホール、グリーンを狙ったショットは、ピンから20ヤード奥のラフまで転がった。プレーオフ入りをかけた次のショットはわずかにピンからそれ、カップを2メートル通過。この瞬間、挑戦は終わった。
ホールアウト直後のテレビインタビュー中には涙を浮かべる姿もあったが、すぐに大きな笑顔を見せた。「あの終わり方をしたのは良かった。いろいろやった一日だったけれど、最近の自分のゴルフの内容を考えると、よく頑張ったなと言いたい」。4月下旬から前週まで日米両ツアーで8戦して予選落ちが6回あり、涙を流したこともあった。だが3年前に人生を変えた思い出の全英で苦労を乗り越えた姿を見せた。
「この4日間、忘れていたことを思い出したし、新しいことを覚えました」。取材対応後はプレーオフが行われている18番グリーンに急いだ。戦友の初優勝が決まると、駆け寄って抱き合い、拍手でたたえた。