95年ぶりアマVなるか 蟬川泰果が単独首位浮上 圧巻イーグルに大歓声「興奮した」
「男子ゴルフ・日本オープン選手権・第3日」(22日、三甲GCジャパンC=パー70)
首位から出た蟬川泰果(21)=東北福祉大4年=が1イーグル、7バーディー、2ボギーの63でスコアを七つ伸ばし通算13アンダーで単独首位に立った。2位に6打差をつけ、1927年の第1回大会を制覇した赤星六郎以来、95年ぶりのアマチュア優勝に王手をかけた。7アンダーの2位は比嘉一貴。同じくアマチュアの杉浦悠太(日大3年)が4アンダーで3位につけた。アダム・スコット(オーストラリア)は1オーバーの13位。
圧巻のイーグルだった。319ヤードの前方のティーイングエリアを使用した9番パー4。「刻む頭はなかった。せっかくだから見に来てくれた人を沸かせたい」。蟬川に迷いはなかった。3番ウッドを振り抜いたボールはグリーンをとらえ、ピン右8メートルについた。
奥の斜面を観客席のようにして見守った数百人のギャラリーを沸かせると、イーグルパットもど真ん中から沈めてこん身のガッツポーズ。大歓声に包まれ「興奮した。大勢が見に来てくれる中で、あの一打は気持ちいい」と快感に酔いしれた。
肩書はアマチュアだが、スコアも気持ちもすでにプロフェッショナルだ。イーグルの次は10番パー4で花道からアプローチを沈めるなど7バーディー。大学の先輩で2位の比嘉に6打差をつけた。
「ギャラリー目線を意識して回っている」。その原風景はタイガー・ウッズら米ツアーの選手。10年前のマスターズ・トーナメントのプレーオフで、バッバ・ワトソンが右林からの第2打を約40ヤードも右に曲げて4メートルにつけたショットは「普段はフェードなのに、あそこまでフックが打てるなんて」と記憶する。
だから最終日も守りに入る気などない。「このスコアに満足せず8アンダーを出すぐらいの、もっともっと伸ばしていくようなゴルフを意識して勝ち切りたい」。95年ぶりの快挙はすぐそこだ。