蟬川泰果 95年ぶり日本OPアマV プロ以上の“プロ意識”「起爆剤になれれば」

 アマチュアで優勝した蟬川泰果はローアマの賞も「総ナメ」状態。記念撮影で「重い!」と喜びをかみしめる(撮影・坂部計介)
 優勝を決め、ガッツポーズ をする蟬川
2枚

 「男子ゴルフ・日本オープン選手権・最終日」(23日、三甲GCジャパンC=パー70)

 首位から出た蟬川泰果(21)=東北福祉大4年=が2バーディー、2ボギー、1トリプルボギーの73でスコアを三つ落としたが、通算10アンダーで逃げ切って優勝した。アマチュアが日本オープンを制覇するのは1927年第1回大会の赤星六郎以来、95年ぶり2人目。9月のパナソニック・オープン優勝に続くツアー2勝目は、73年のツアー制度施行以降ではアマ初の快挙となった。2打差2位は比嘉一貴。蟬川と6打差3位に長野泰雅と、アマチュアの杉浦悠太(日大3年)が入った。

 苦しかった最終日の戦いに、自分らしい魅せるパッティングで決着をつけた。2打リードで迎えた最終18番パー4。グリーン奥バンカーからの蟬川の第3打はカラーまで転がった。比嘉のバーディーパットが外れ、そこから2打でも勝てる状況だったが違った。

 「1パットでという気持ちは60%くらいあった」。パターで打ったボールが真ん中からカップに吸い込まれ、95年ぶりの世紀の勝利。「苦しかった。アマ初の2勝や勝つことを目標とした試合で勝ち切れたのはうれしい」。派手なガッツポーズではなく、安どの表情でキャディーと喜びを分かち合った。

 1番は1・5メートル、2番は9メートルを沈める圧巻の連続バーディー発進で、15アンダーに伸ばし、2位で大学の先輩でもある比嘉との差を一気に8打差に広げた。だが、5番で50センチほどの“お先”パーパットを外してボギー。さらに前日は前方のティーから1オン、1パットのイーグルで沸かせた9番パー4で悪夢が待っていた。

 グリーン奥の深いラフから60度のウエッジによるアプローチは、2度もボールの下をくぐる“だるま落とし”に。56度に持ち替えた第5打でグリーンに乗せたが、2パットのトリプルボギーとなった。

 3打差となり「本当に流れが変わった。正直、ヤバいなという気持ちもあった」。それでも守りに入らないのがプロ選手以上の“プロ意識”を持つ蟬川だ。「勝ちたいより、いいプレーをしたい気持ちがあった。勝ちに徹するより、見に来てくれる方も多い中で、見ていて面白いというプレーをしたかった」。ピンを攻め続け、地元ファンを沸かせた。

 年内のプロ転向を予定し、この日の勝利で2027年までの国内シードを得た。将来の目標は海外メジャー4冠。すぐに米ツアーを目指せる条件は整ったが、蟬川の考えは違う。

 「30歳まで日本ツアーを主戦場にしながら、複数回優勝して賞金王を取り続ける選手になりたい。そうすれば男子ツアーがもっと盛り上がる。起爆剤になれればな、というのが一番の思い」。盛り上がる女子に比べ、低迷が続く男子に救世主が現れた。

 ◆蟬川泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫県加東市出身。名前はタイガー・ウッズに由来し、おもちゃのクラブを持った1歳から競技に親しんだ。大阪・興国高から東北福祉大へ進み、今年6月に下部ツアー大会で優勝。9月は世界アマチュアチーム選手権個人2位に入り、パナソニック・オープンで男子ツアー史上6人目のアマチュア優勝を果たした。177センチ、75キロ。

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