「女子ゴルフ・樋口久子・三菱電機レディース・最終日」（３０日、武蔵丘ＧＣ＝パー７２）

　首位から出た金田久美子（３０）＝スタンレー電気＝が４バーディー、４ボギーの７２でラウンドし、通算９アンダーで逃げ切って涙の優勝を飾った。初優勝した２０１１年４月２４日のフジサンケイ・レディース以来、１１年１８９日ぶりのツアー２勝目で、１９８８年のツアー制度施行後では最長ブランクＶ。川崎春花は２打差２位で２週連続優勝はならなかった。３打差３位に佐久間朱莉と川岸史果。渋野日向子は３アンダーで９位に入った。

　１１年分の思いがあふれた。２打リードで迎えた１８番パー５。２０センチのウイニングパットを沈めた金田の目から大粒の涙がこぼれ、手で口を押さえた。グリーン周りで水をかけられて祝福され、泣き笑いで「べちゃべちゃ」と第一声を発した。

　土壇場で会心のショットが出た。１５番のボギーで川崎に１打差に迫られて最終盤へ。１７番パー４は残り１６０ヤードの第２打を７番アイアンでピン下１メートルにつけた。「上がり３ホール、どうにかこうにか勝負のホールにしたかった。バーディーを取れてうれしかった」。リードを広げ、勝利を引き寄せた。

　「絶対に勝って、いつか証明したい」という思いがかなった。ＳＮＳで食事や私服姿の写真を紹介すると「練習していないんじゃないか」などとコメントされる。アマチュアの頃は練習嫌いだったが、今は違う。

　７番パー４の第２打はグリーン右手前バンカーへ。このところバンカーではトップのミスが多く「うわ！」と焦ったが「この２カ月間とにかくバンカーの練習をした」。１メートルに寄せパーセーブし「ここ一番の場面で、あの一打に成果が出た。人から見たら普通のショットかもしれないけど私はうれしかった」。

　特に５、６年前はキャリー１４０ヤードのチーピンが出たり、５０センチのパットも入らなかった。「こんな恥ずかしいゴルフなら、やっていてしょうがない」。コースに来ただけで涙が出て、吐いた。

　夢に見た２勝目を手にし「あきらめなければ結果はついてくる、というものを見せられた。次は３勝目をしたい」。元祖天才少女が強くておしゃれな３３歳になった。

　◆金田久美子（かねだ・くみこ）１９８９年８月１４日、名古屋市出身。３歳でクラブを握り、８歳で世界ジュニア（１０歳以下）優勝。中学３年時の２００４年にゴルフ５レディース３位など数多くの実績を残して０８年にプロ宣言し、１１年フジサンケイ・レディースで初優勝した。今季はＱＴランク８７位で臨み、前半戦の活躍によるリランキングで中盤、後半戦の出場機会を得た。１６６センチ、５１キロ。