吉本ひかる涙の初V 渋野らの黄金世代12人目 「実感はない。優勝ってこうなんだ」

 プレーオフを制してツアー初勝利を挙げ、涙ぐむ吉本ひかる
 初優勝を決めた吉本ひかる
2枚

 「女子ゴルフ・明治安田生命レディス・最終日」(12日、土佐GC=パー72)

 首位から出た吉本ひかる(24)=マイナビ=が激戦を制し、涙のツアー初優勝を果たした。4バーディー、1ボギーの69でスコアを三つ伸ばし、通算19アンダーで並んだささきしょうことのプレーオフに突入。2ホール目にバーディーで勝利を決めた。渋野日向子らと同じ1998年度生まれの黄金世代12人目の優勝者。ささきは2打差を追いつくも通算4勝目はならなかった。3打差3位に古江彩佳と小祝さくら。勝みなみは6位、この試合を最後に渡米する西村優菜は10位だった。

 うっすらだった涙がどっとあふれ出た。吉本は同じ黄金世代の植竹に祝福されてもまだこらえていたのに、2015年から師事する中島敏雅プロに抱擁されると止まらなくなった。「不思議な感じ。実感はない。優勝ってこうなんだ。なんかそういう感じ」。自分も周囲も待ち望んだ瞬間を、そう表現した。

 プレーオフ2ホール目。左奥9メートルのバーディーパットを沈め、ぴょんとジャンプして喜んだ。「一瞬うれしかったが、しょうこさんも入れると思った。まだあると思っていた」というが、ささきのパットは外れた。

 後半に強さを発揮した。前半はバーディーを奪えず7番で追いつかれた。9番パー4は第2打が「あーっと思った」とまさかのシャンクでボギー。バーディーだったささきに抜かれ、逆に2打差をつけられた。

 「後半の方がバーディーを取れるし弱気になるのはやめよう」。12番終了時でつけられた3打差を13、15、16番のバーディーで再逆転。17番で追いつかれてもプレーオフ2ホール目で振り切った。

 21年夏に絶不調に陥り、ドライバーが190ヤードしか飛ばなくなった。中島プロとも相談し、昨年から「あと5年全力で頑張ろう」という覚悟で、かつて松山英樹の専属だった飯田光輝トレーナーの指導を受けた。

 体幹や下半身を鍛えただけでなく、スイング時の体の動かし方も学んだ。トレーニングに耐えた心と体の強さに加え、ミスの後に自分で対処できるゴルフへの理解力が、計74ホールに及んだ死闘を制する原動力になった。

 前日、飯田トレーナーから届いた「つらいときこそ笑顔でプレーして」というメッセージの通り最後までプレー。早くから成功を期待された吉本が、黄金世代12人目の優勝者になった。

 ◆吉本ひかる(よしもと・ひかる)1999年2月25日、滋賀県高島市出身。9歳から1歳上の姉・百花さんとゴルフを始めた。滋賀短大付3年時の2016年にルートイン上田丸子グランヴィリオで、下部ツアー4人目のアマチュア優勝。翌年7月にプロテスト合格。10月の下部うどん県レディースも制した。2週連続2位などの活躍があった19年に、賞金ランク28位で初シード獲得。家族は両親と姉、妹2人の4人姉妹。152センチ、53キロ。

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