山内日菜子 プロ8年目で涙の初V 地元で歓喜 両親に「少しは恩返しできたかな」
「女子ゴルフ・アクサ・レディース・最終日」(26日、UMKCC=パー72)
2位から出た山内日菜子(26)=ライフ=が4バーディー、2ボギーの70でスコアを二つ伸ばし、通算10アンダーで悲願のツアー初優勝を逆転で果たした。2016年にプロテストに合格して8年目。主催者推薦出場から栄冠をつかみ、地元宮崎のファンの前で大粒の涙をこぼした。1打差の2位に比嘉真美子。首位から出た川崎春花は8アンダーに落とし、照山亜寿美、川岸史果、吉本ひかる、金沢志奈と並び3位に終わった。
こみ上げた感情を抑えきれなかった。30センチほどのウイニングパットを沈めた山内は両手を広げた直後「歓声やいろんな人の顔を見て涙が止まらなかった」。目からとめどなくこぼれ落ちた。
初の最終日最終組。2、3番を連続ボギーとし、4番終了時点で首位に4打差をつけられたが焦りはなかった。「バーディーを取れるホールはまだある。あとはやるしかない状況になった」。小学3年時にジュニア大会で初めてプレーして以来、数え切れないほど回ってきたコースだ。
6番でグリーン奥からのアプローチをフワリと浮かせてチップインバーディーとすると後半は3バーディー。14番でもチップインを決め首位に並ぶと、16番は奥からの5メートルを沈めて10アンダーで単独トップに立った。
今季出場権をかけた昨年11月の1次QTはC地区50位で敗退。実はこの時、バッグに練習用クラブを入れて15本で2日間プレーしたとして計8打罰を科されてしまった。「本当に終わったな」。下部ツアー出場も危ういQTランク181位。ショックは大きかった。
数少ない推薦出場でリランキングに必要なポイントを稼ごうと今季に臨み、その1戦目で目標の5位以内をはるかに上回った。今季残り試合と来季シードを獲得し、「来週も(今季最終戦の)ツアー選手権リコー杯も出られる。本当にうれしい」と喜んだ。
支えてくれた両親への思いを聞かれ、「優勝の景色を見せたかった。地元でできて、少しは恩返しできたかな」とまた涙した。宮崎の太陽の下ですくすく育つ菜の花のように-。そんな母の思いが込められた名前の通り、プロ8年目で大輪の花を咲かせた。
◆山内日菜子(やまうち・ひなこ)1996年4月22日、宮崎市出身。9歳からゴルフを始めた。宮崎東高から進学した山梨学院大は中退。2016年7月のプロテストに合格し、17年に下部ツアーのハナサカ・ヤンマー・レディース優勝。これまでのツアー最高成績は21年日本女子オープンの5位だった。家族は父・克則さん(57)、母・由美さん(52)、弟の南雲さん(24)、確さん(19)。162センチ、60キロ。