岩井千怜 今季初V 史上初!双子姉妹プレーオフ制した 母の日に最高のプレゼント
「女子ゴルフ・RKB×三井松島レディース・最終日」(14日、福岡CC和白C=パー72)
岩井千怜(20)=Honda=がツアー史上初となる双子姉妹のプレーオフ対決を制した。首位と4打差の7位から出ると、7バーディー、ノーボギーの65と猛チャージをかけ、通算11アンダーで並んだ姉の岩井明愛、山下美夢有とのプレーオフに突入。2ホール目にバーディーを奪い、逆転で今季初優勝を飾った。2022年のCATレディース以来、ツアー通算3勝目。
この日3度目の18番パー5。2メートルのウイニングパットを沈めると岩井千は快晴の空に向かって大きく息を吐き、右手を握りしめた。昨季の年間女王を交えた双子決戦の決着にグリーンは大歓声に包まれ、試合中には話さなかった姉・明愛から「おめでとう」と祝福を受けた。
「あともうひとつで勝てないときが多かったので、きょうは勝てて本当にうれしく思う。最後まで戦ってくれた美夢有さん、明愛には本当に感謝している」
運命のプレーオフ2ホール目。姉はフェアウエーからの第2打でドライバーを握った。同じような位置にいた千怜。一度はスプーンで打つことも考えたが、「ここまで来たらファンの皆様を楽しませたい」。ミスショットが出る可能性が高い“直ドラ”。練習でもほとんどやったことがなければ、試合でも初めてのショットだ。
それでも「失敗する予感がしなかった」とドライバーを迷いなく振り抜いた。グリーンまで残り233ヤードの距離から一気に攻めに出ると、ピンまで残り12ヤードに運んだ。そして今年上達を実感しているアプローチで3打目を寄せ、勝利をグッとたぐり寄せた。
史上初の双子姉妹でのプレーオフ。父の雄士さんは「小学校の運動会でも2人でトップを争ってて負けず嫌いだった」とほほ笑む。会場では母・恵美子さんも見守っていたが、千怜は「母の日に優勝できて最高のプレゼントができた」と胸を張った。
念願だった姉との最終日での優勝争いは、プレーオフというこの上ないシチュエーションのおまけ付きだった。「ほんとうに長年の夢だったので、夢がきょう一つかなった」。とびきりの笑みがはじけた。
◆同一シーズンの姉妹Vは初 姉妹でプロテストに合格した例は18組(3姉妹も含む)あり、いずれかがティーチングプロの場合も含めると23組。そのうち双子は4組で、どちらか一方でも優勝したのは岩井姉妹だけ。姉妹優勝は福嶋晃子と浩子、堀奈津佳と琴音、岩井明愛と千怜の3組が達成しているが、同一シーズンに2人が勝ったのは今回の岩井姉妹が初めて。