桜井心那 ツアー初V!桑木とのPO制した 「10代で勝ちたかった」有言実行19歳
「女子ゴルフ・資生堂レディース・最終日」(2日、戸塚CC西C=パー72)
1打差5位で出た桜井心那(19)=ニトリ=が6バーディー、2ボギーの68でスコアを四つ伸ばし、通算10アンダーで並んだ桑木志帆とのプレーオフを2ホール目で制してツアー初優勝を逆転で果たした。2003年度生まれの優勝は川崎春花、尾関彩美悠、神谷そらに続く4人目。「ダイヤモンド世代」が新たな勢力として女子ゴルフ界を席巻していく。1打差3位は岩井明愛、2打差4位は宮田成華だった。7アンダーの5位に永峰咲希、吉田優利が並んだ。
緊張していても、プレーは最後まで冷静だった。18番パー4でのプレーオフ2ホール目。桜井は決めれば優勝の4メートルを沈めて右拳を強く握った。「いつものルーティンで打てた。実感は全くないがプレーオフはすごくドキドキした。終わってホッとしている」。19歳139日。若きヒロインがまた誕生した。
圧巻の終盤だった。首位の桑木を2打差で追い、残り2ホールを迎えた。「バーディー、バーディーしか勝つ方法がない。キャディーさんともバーディー二つでいいじゃんと」。17番パー4は残り145ヤードの第2打をピッチングウエッジで20センチにつけバーディー。正規の最終18番は残り99ヤードを52度のウエッジで左90センチにつけてバーディー。有言実行でプレーオフに持ち込んだ。
「10代で勝ちたかった」。これまでも目標を公言しては実現してきた。高校3年時の2021年は全国高校選手権で優勝。その秋のプロテストに一発合格した。父・一也さん(61)は「目標をはっきり口にするタイプ。有言実行。わが子ながらすごい」と感心する。
プロ1年目の昨季は下部ステップアップツアーで年間5勝の新記録を達成したが、レギュラー本格参戦1年目の今季は開幕から2戦連続予選落ちなど苦戦した。前週の予選落ちから臨んだ今大会は、週初めに100ヤード以内のショットを徹底的に練習。「いまは準備期間。数カ月後くらいに勝つプランだった」と位置付けていた桜井だったが、一気に頂点に立った。
この日も「将来は米国に行ってキラキラした世界で戦うのが目標。ここは通過点。全米女子オープンとかそういう大会で優勝とかできる選手になりたい」と宣言した。昨夏インドネシアでの国際大会で渋野日向子、リディア・コ(ニュージーランド)、キム・ヒョージュ(韓国)らとプレーしてあこがれ、目標にするようになった。
今季ツアー5位の平均飛距離254・30ヤードは世界でも通用する。「早いうちに(米ツアーの)Qスクールを受けてチャレンジしたい。来年とか2年後に挑戦しているかも」。有言実行の桜井なら必ずやり遂げるはずだ。
◆桜井心那(さくらい・ここな)2004年2月13日生まれ。長崎市出身。5歳でゴルフを始める。長崎日大3年時の21年全国高校選手権個人優勝。同年11月のプロテストに一発合格。昨季は主戦場の下部ステップアップツアーで新記録の5勝を挙げ賞金女王。家族は父・一也さん(61)、母・伊津子さん(56)、兄・竣晟さん(24)、兄・豪さん(20)。名前には「心が広く穏やかに」の願いが込められている。166センチ、62キロ。