蛭田みな美 ミラクル初Vに涙止まらず プロ8年目「このまま勝てないで終わっちゃうのかなと」

 初優勝を果たした蛭田みな美
 優勝インタビューで涙を流す蛭田みな美(中央)。右はキャディーを務めた父親の宏さん=大箱根CC
 ツアー初優勝を果たし、キャディーを務める父親の宏さん(左)と記念写真に納まる蛭田みな美=大箱根CC
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 「女子ゴルフ・CATレディース・最終日」(20日、大箱根CC=パー72)

 首位タイで出た蛭田みな美(26)=ユアサ商事=が5バーディー、2ボギーの69でスコアを三つ伸ばし、通算13アンダーで並んだ西郷真央とのプレーオフを1ホール目で制して、プロ8年目でツアー初優勝を果たした。1打差3位は桑木志帆。2打差の4位に内田ことこと竹田麗央が並んだ。前年覇者の岩井千怜は10アンダーで川岸史果とともに6位。9アンダーの8位は桜井心那ら3人。前週優勝の菅沼菜々は8アンダーで11位だった。

 最後にミラクルが起きた。18番パー5でのプレーオフ1ホール目。第1打を右に曲げた蛭田は2打目も右ラフにつかまった。「ボギーをどうやって打たないか。しようがない」と放った第3打はグリーン中央から傾斜で左に転がり、ピン横1メートルで止まった。

 「奇跡だった」。ウイニングパットを沈め右拳を握った。グリーン脇で先輩プロや同期に祝福されると、もう涙が止まらなくなった。

 直前の1打リードで迎えた正規の18番は平常心ではなかった。2メートルから2パットでも優勝の場面で「どういう気持ちで打てばいいか分からなかった。バーディーパットを入れようとしてしまった」とオーバー。返しの50センチも外れ、3パットのボギーで追いつかれた。

 いざその瞬間を迎えると、冷静さを失ってしまうほど待ち焦がれた優勝だ。アマチュア時代は日本女子アマや日本ジュニアを制し、将来を期待された大器もプロ入り後は「いつもどん底」。一度もシードすら取れなかったが、プロ8年目でようやく栄冠をつかみ「長かった。このまま勝てないで終わっちゃうのかなと思った」としみじみと振り返った。

 転機は昨年12月。地元サッカークラブ、J2いわきFCの穂苅敦トレーナーの指導でゴルフに必要な瞬発力を養い、飛距離が15ヤードも伸びた。2年前からパットのイップスにもなったが、短い距離は笑いながら打つようにし「表情筋が緩むと緊張が緩む、というわけのわからない理論で」と自己流で克服した。

 今もバスが一日2本しか来ない福島県鮫川村出身で、飼っていた牛の飼料を育てるための草原を駆け回って育った。「甲子園が好きで今年も仙台育英が勝たないかなと思って見ている」と東北愛にあふれる蛭田は「今回の優勝で住んでいるところや東北にフォーカスしてくれる人が多くなればいいな」と言って笑った。

 ◆蛭田のキャディーを務めた父・宏さんは「最後まで意外と冷静だった」と振り返った。正規の18番のボギーは「あいつらしい。本当に3パットの女王っていうぐらい」と言い、プレーオフへは「やり直しだね」と声を掛けたという。難易度の高い16番パー4の第2打でも「腹をくくってピンを攻めよう」という助言が奏功しバーディー。コース脇から声援を送った母・智子さん、兄・玲於さん、姉・彩子さんも含め家族でつかんだ初Vだった。

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