岩井明愛 史上4人目の2週連続完全V 先週涙の2勝目で「不安が自信に変わった」
「女子ゴルフ・ミヤギテレビ杯ダンロップ女子・最終日」(24日、利府GC=パー72)
首位で出た岩井明愛(21)=Honda=が1イーグル、3バーディー、2ボギーの69でスコアを三つ伸ばし、通算13アンダーで2週連続で初日からトップを譲らない完全優勝を果たした。2週連続の完全Vは1988年のツアー制度施行後4人目。今季、通算ともに3勝目。2打差の2位は西郷真央。4打差の3位は浜田茉優、山下美夢有、尾関彩美悠、申ジエ(韓国)。勝みなみは7アンダーで11位。畑岡奈紗はイーブンパーで38位。
圧倒的なイーグルだった。8番パー5で岩井明は残り227ヤードの第2打を3番ウッドでグリーンにオン。奥からの14メートルはカップの左側から吸い込まれた。
「ちょっと強かったが入ってくれて、ギャラリーの皆さんも盛り上がってくれて、自分も盛り上がった」。右手で力強くガッツポーズを繰り出した。
この時点で12アンダーにし、後続とは4打差。「差が開いても何があるかわからない。特に自分はOBとかパターで強く打ってしまうときもある。最後まで集中した」。それでも道中は完全な一人旅状態。最終18番で1メートルのパーパットを沈めると再び右拳を掲げた。
「千怜とお互い、歴史に残るような結果になってよかった」。ともに2週連続優勝をなし遂げた初の姉妹だ。双子の妹・千怜は昨年、初優勝から2週連続V。「めちゃくちゃすごい。いつか自分もやりたい」と思った一方で「先に行かれた感じはあった。焦り、追いつかなきゃという気持ちもあった」という。
自身は今季、4月のKKT杯バンテリン・レディースで初優勝し「焦りがなくなって自分のゴルフができるようになった」。前週、住友生命レディース東海クラシックまで5カ月かかったが「2勝目ができないかもという不安が自信に変わった。それがきょう優勝できた要因かもしれない」。単なる2週連続Vではない。2戦とも一度も首位を譲らない完全優勝はイ・ボミ、申ジエ(韓国)、鈴木愛に続く快挙だ。
22日に71歳になった父方の祖母・千重子さんが見守る前で最高のプレゼントを贈り「本当にきょうは記憶に残る一日になった」。2週連続優勝は岩井明が51例39人目だが、そのうち3週連続まで伸ばしたのは全美貞(韓国)と鈴木愛の2人しかいない。
次戦は日本女子オープン選手権。「自分のプレーをしていれば結果はついてくると思う。変わらず自分らしくプレーしていきたい」。攻めるゴルフを貫けば、今度はメジャーの舞台で快挙達成が実現するかもしれない。
◆2週連続完全優勝を18番グリーン脇で見守ったコーチで父の雄士さんは「ちょっとうまくいきすぎて怖い感じ。でも2週連続のチャンスはそんなにないから(妹の)千怜に追いつくために挑んでいたかもしれない」と話した。千怜は「本当にすごい」と称賛した一方で「私もうれしいが、たぶん悔しさがこみ上げてくると思う」。次戦の日本女子オープンへは「楽しみ。来週は勝つ気持ちでいく」と姉の3週連続を阻止すると誓った。
◆岩井明愛(いわい・あきえ)2002年7月5日、埼玉県川島町出身。双子の妹・千怜と8歳でゴルフを始め、ともに強豪の埼玉栄高へ。21年6月のプロテストに姉妹で合格。9月の下部・山陽新聞レディースカップで妹に続き優勝。昨季は年間40位で2勝した妹と今季シードを獲得。今年4月のKKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝した。家族は妹のほかに父・雄士さん、母・恵美子さん、日大1年の弟・光太さん。161センチ、59キロ。